【メンター・インタビュー 05】人が人と関わり合うことで生まれる力を信じて(小田切 紀子さん)
女子中高生のためのエンパワーメントプログラム、Girls Unlimited Program(GUP)のメンターとして参加されている東京国際大学の小田切 紀子さん。GUPの魅力やガールズへのメッセージについて聞きました。
GUPにメンターとして参加した印象
メンターとして複数回参加したのですが、参加している中学生、高校生の皆さんが、ちゃんと未来のイメージを持っていることに驚きました。私の「青年心理学」という授業では、過去、現在、未来という時間的な展望をもって、今、自分がどうすべきかを考えなさいという話をします。私が大学生相手に話していることがらに、中学生、高校生が取り組んでいることに驚きました。皆さん、問題意識が高いのだなと思いました。
そのような高い問題意識を持つようになるには、本人の資質もあるでしょうが、ご家族のサポートや学校の教育環境も影響を及ぼすことでしょう。GUPは、特別な環境に育った子どもではなく、一般的な環境に育った子どもで、モチベーションの高い子どもを対象にしたプログラムとして構成されており、その点がとてもいいなと思いました。
自分のペースを失わないでほしい
前述のように、プログラム終了時にはっきりしたビジョンを持つことは、すごいことです。しかし、他方で、今は情報をインプットするばかりでビジョンを持てなくても、このような「場」に出たということそのものが財産になると思います。子どもたちには、自分のペースを失わないでほしいと思います。
私は、現在、大学および大学院で、臨床心理学(りんしょうしんりがく、英:clinical psychology)を専門に教えています。大学院生は定まった目標を持っていますが、就職活動前の大学生は、キャリアやビジョンに対する向き合い方がガールズに近いと思います。彼らは、就職活動の過程で、自分を見つめ直し、本当に自分が何をしたいかを、繰り返し問い続けることで、大きく成長します。
人は、いろいろな人との関わり合いの中で生きています。人から受ける影響や自分自身の潜在的な力の相互作用によって変わるのです。そこが心理学の魅力でもあるのですが、子どもたちにはできるだけ多くの人とかかわり、多くの体験をしてほしいと思います。
大人にとってのGUP
私の場合、かなり無理をして状況を作らないと、専門が異なる領域の方と話す機会はありません。また、私の仕事は中立的であること、すなわち、自分の考えを相手に押し付けない、人をコントロールしない、説得しないということが必要です。とはいえ、自分の考えや価値観というものもちゃんと持っていなければなりませんが、その考えや価値観を客観的にチェックする機会はなかなかありません。
GUPには、メンターとして多くの大人が関わります。自分とは専門が異なる領域の方との会話から、新しい気づきを得ることができます。そういう意味で、GUPは大人であるメンターにとっても得るものがあると思います。
将来に向けて、前を向いて歩こう!
これまで、親が離婚した子どもたちの心理的なサポートや、帰国子女や留学生の社会適応のためのサポートを中心として活動してきました。最近は、移民の子どもたちの心理的サポートに力を入れています。この領域において、子どもたちの心理面のサポートはまだ十分ではありません。ですから、私自身がしっかりと活動をして、仲間を増やし、これらの領域において、子どもたちの心理面のサポートが必要だということを伝えたいと思います。
皆さん、将来に向けて、前を向いて歩きましょう!
小田切 紀子さん(東京国際大学)
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