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もし今日がバブル崩壊前夜だったとしても積立投資は有効か

つみたてNISAでコツコツ投資に励まれている方々、お疲れさまです。巷で最強と謳われているS&P500連動ファンドや全米株インデックスになけなしのお給料をコツコツせっせとお金を投じている我々ですが、不安定なご時世、全く安心して積み立てていくというわけにはいきませんね。

短期的にはジャクソンホールや米国債金利の上昇、長期的にもマネーサプライ減、世界人口増加の鈍化など世界経済鈍化の材料には枚挙の暇がありません。しかし世界の経済はまだまだ右肩上がりの余地があり、多少の波はあれど基本的には増大していく、そして米国株こそが世界の経済の中心である、これがS&P500が最強のインデックスと言われる所以です。

しかしそこまで自信満々に各所でおすすめされると疑心暗鬼になるわけです。しかも我々日本人には教訓ともいうべき非常に苦い記憶があります。バブル崩壊です。このあとに続く平成不況、失われた30年。当時永遠に騰っていくと思われた地価や株価が暴落し、今現在においても日経平均株価は当時の最高値を更新できていないわけです。となると、世界経済は常に成長し続けるという論理に基づいた我々の投資はなんの根拠もない無謀な投資ということになってしまいます。右肩上がりを信じている今こそが単なるバブルであった、となる可能性は否めないわけです。

では当時のバブルをきっかけに積立投資を始めた場合、資産はどうなっているでしょうか?

ここで時を戻し、1990年のお正月。いま我々は日経平均のグラフを見、これは投資する好機だと捉え、つみたて投資を開始したとします。ちなみに1950年から89年までの日経平均株価のグラフは下記のようなものになります。当時の新聞にはこんな風にチャートが掲載されていたことでしょう。指数関数的に騰っているのならば、控えめに考えても10年後には10万円は軽く超えていることでしょう!

では、お正月早々さっそく積み立てていきましょう!当時NISAはありませんが、仮につみたてNISAとほぼ同額になるよう月々33,000円を日経平均株価連動ファンドに1990年1月から積み立てていったとします。結果のグラフは以下の通りになります。


赤線が損益です。2022年8月22日現在、+11,517,209円という結果で終わっており(12,705,000円投資、24,222,209円の評価額)、結果的にはかなりのプラスで終えているといえるのではないでしょうか。この結果なら万々歳ですね!幾多の不景気を乗り越えた甲斐があったというもの!!もっと投資しておけばよかった!

ところがこれで諸手を挙げて投資できるわけではありません。グラフの真ん中あたりを見るとマイナスの期間も相当に長く、しかもかなりの額の含み損となっているためです。

2009年3月10日、このシナリオでは実に3,971,130円もの含み損を抱えています(7,458,000円投資、評価額3,486,869円)。また、とき同じくして日経平均株価はバブル崩壊後の最安値を記録しています。この後資産がプラ転するのは2013年4月に入ってからで、細かくプラスに成ることはあれど、安定した含み損をかかえるまでになるのはつみたてを初めて実に23年後ということになります。

果たしてこの23年をどう考えるか。人生でいえば状況はかなり変わっています。今子供を生んだとして大学卒業を迎えるまで。この途方も無い時間、しかも小さくない含み損をかかえつつ更に投資していく精神力。これを持ってしてようやく手に入るのが上記の含み益なのです。

いつかはプラスになることを信じて人生単位での入金力が試される投資。これがつみたてです。世間ではほったらかし投資などと言われラクチンでなんの努力や才能も要らないかのように言われていますが、実際には過酷な現状が待っているかもしれないのです。


参考


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