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シリーズ・人間の欲望1

長男氏(8歳)からミートソースを食いたいという要望があり、現在玉ねぎを炒めている次第です。

一応レシピ通りにということで、玉ねぎ180g、人参60gをみじん切りにしたところ、人参が余りました。

隣に目をやると、昼に食った桃の抜け殻(果物を包んでいる白いあみあみのアレ)がひとつ、転がっている。余った人参の長さと、ちょうどのサイズに見えました。

入れたいと言語化するよりも先に、既に私は入れていました。気付くと入っていた、という方が実状は近いかもしれない。お恥ずかしい話ですが。

挿入後の人参

私達の理性は欲望の前ではあまりに無力ですね。どうあるべきか?どうするべきか?私の選択にはどんな意味があるのか?そういったことを考えるよりも先に、身体は人参を入れたがっている。入っている人参を見てから、理由の方を考え始めている。

人参は傷みやすい野菜でもない。衝撃から守ったところで何になるのか、とは思います。それに、このように包まれた人参を冷蔵庫に見つけた時、妻の頭の上に「?」が浮かぶことも想像に難くない。余計な推測を招く可能性もあるでしょう。そう考えたけれど、私は野菜室の一等地にそれをしまった。やはり理由は説明できなかった。

静かに冷えていく人参

人間は意味のない行動をしない。これは私がもつ偏見のコレクションのひとつです。ところが実態はこの有様。私自身ですら簡単に反故にするようなことを、確からしい信念として持っている。滑稽ですね。まして、妻にとっての常識はまた別にある。だから、意味のない行為から存在しない意図が汲み取られてしまうことを恐れる必要はない。そう言い訳をしながら、私は私の欲望に忠実に従うことを正当化したのです。

なお、白いあみあみはフルーツキャップ、というそうです。ポリエチレンで作られており、果物を腐りにくくする効果もあるそうな。

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