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【対話的読書】ミンツバーグの組織論 Session7

思考停止から遊び心へ
真のパズルの特徴は、
①ピースは自分で見つけるなり、つくるなりしなくてはならない
②ひとつひとつのピースの輪郭ははっきりしない
③ピースがぴったりはまることはほとんどない。結合させなくてはならない場合が多い
④パズルの箱は見当たらず、完成させるべき絵柄は、ピースとその組み合わせから自分で描き上げなくてはならない

このようなパズルを解くためには、思考停止に陥らずに、遊び心を発揮する必要がある。前例のない新しい構造をつくり上げるために、創造的に考えるつもりでいなくてはならない。

外へ向かう組織

これまでの組織は、内に向けて閉ざされたものだった。「多角化」と称する戦略を推進していながらも、内と外の境界線はきわめて京子だったのだ。しかし、近年は、さまざまな新しい仕組みが登場して、組織が外に向かって開かれ始めた。「外へ伸びるネットワーク」、「契約によるアウトソーシング」、「提携による合弁事業」、「部外者を参加させるプラットフォーム」、「共通の目的に向けた合同」、「テーブルを囲む寄り合い」である。
21世紀の世界では、組織と組織の間の垣根を壊すための仕組みが隆盛を極めている。

外へ伸びるネットワーク
ネットワークづくり自体は、別に目新しいことではない。私たちは、私生活と同様、組織における生活でも、コミュニケーションを円滑にするために、組織内だけでなく、組織外でもネットワークづくりをおこなう。昔と変わったのは、新たにソーシャルメディアが登場したことにより、ネットワークづくりの範囲が大きく広がったことだ。異なる場所、時間帯で働くチームがいわば「非同時的」に円滑につながりあうことも可能になった。

契約によるアウトソーシング
アウトソーシングを始めると、組織の境界線は曖昧になり始める。アウトソーシングは、垂直統合とは正反対の性格をもつ。それまで組織内でおこっていた活動を、契約により外部の組織や個人に発注するのだ。
アウトソーシングは、組織をプロジェクト型に近づける作用を持つ。その理由は、自動化が組織をプロジェクト型に近づけるのと同じだ。内部でおこなう活動を減らす結果、管理業務がプロジェクト的性格を帯びるのである。内部の業務機能をマネジメントするのではなく、外部のアウトソーシング先と交渉することが役割になる。

提携による合弁事業
境界線がさらに曖昧になり、独立した組織同士が提携し、特定の製品やサービスを設計、開発、販売するパターンもある。一時的に提携して合弁事業をおこなうのだ。

部外者を参加させるプラットフォーム
アウトソーシングの裏返しが、インソーシングとでも呼ぶべき形態だ。組織がプラットフォームの形を取り、部外者に利用させるパターンである。プラットフォームにおける販売事業者と購入者の間の調整、そしてときにはそのプラットフォーム上で出会ったユーザー同士の調整は、相互の調整によって行われる場合が多い。そうしたやり取りは、たいていオンラインで行われる。

共通の目的に向けた「合同」
「合同」はアウトソーシングとは対照的に、いくつかの組織が一緒になって、自分たちのために共通の機能を実現することを目指す「インサービス」の一形態である。合同は、プラットフォームと似ているが、違うのは、ユーザーがみずからメンバーとしてそのプラットフォームをつくることだ。

テーブルを囲む寄り合い
寄り合いでは、決まったメンバー便宜上の理由で集まる。なんらかの機能を実現するために合同するのではなく、共通の関心ごとのために寄り合いをつくる。

組織デザインのプロセスを開放する

まったく同じ人間は2人といない。したがって、まったく同じ組織も2つとない。組織は、それぞれが唯一無二の存在である人間たちが集まって形づくられるものだからだ。そのため、組織の構造はすべて、ひとつひとつの組織に合わせてカスタマイズする必要がある。

デザインの4つのアプローチ
・定式型のアプローチ
制約なしに実験を行うのではなく、既存の原則に沿って行動する。

・ビジョン型アプローチ
デザインを行う人の想像力に依存し、その結果として新しい機会に迅速に対応しやすい。

・会話型アプローチ
デザイナーだけでデザインを行うのではなく、デザインの成果とともに生きていくことになる人たちの知見も取り入れる。

・進化型のアプローチ
状況が変化したり、問題が持ち上がったり、機会が出現したりするのに合わせて、デザインのプロセスがつねに適応し続ける。

定式型アプローチは、遊び心にかけていて、ものごとに機械的に反応する性格が強い。これだけでは、カスタマイズされたデザインを生み出すには不十分だ。一方、ほかの3つのアプローチには、遊びの要素がある。それぞれ想像力や会話や適応力を駆使して、力と組織形態、文化と対立、効率と熟達、集権化と分権化、クラフトと創造性のあり方を見い出そうとするのだ。

知識のあるデザイナーがほかのみんなのために組織構造をデザインするのではなく、その組織構造の下で生きていくことになる人たちがデザインのプロセスに参加すべきだ。人々が実践を通じて組織構造を設計することが望ましい。学習することにより、人々が自分たちに最も適した道を見い出すべきなのだ。
組織デザインでは、最初から完璧なデザインを目指すべきではない。最初の一回で決定版をつくろうとするケースが多いが、そのようなやり方は、利用者がデザインを改編したり、誤りを修正したりする余地をなくしてしまう。組織には、創発的な戦略だけでなく、創発的な組織構造も必要だ。まずは細々と用心深くはじめて、そこから経験を積み重ねながら進めていくことが望ましい。

「シンプルなものを求めよ。そして、それを疑え」
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド


【第7部からの学び】

組織の基本的な類型を示しつつも、時代とともに変化する様を捉えた最終章。個人的には、最後に語られた組織デザインについて、より深めたい、または独自に言語化を試みたい、と思えた。組織デザインは「デザインシンキング」ではなく「デザインドゥーイング」(やりながらデザインする)という記述もあったが、納得感がある。予めデザインを考案することも大事だが、人がかかわる組織を形づくるのは、机上では完成しえない。
「書く」ことのリハビリを兼ねて、読みながら転写することで、ミンツバーグ教授の授業を受けながらノートをとっているような感覚にもなった。
この学びから、今度は自分の言葉で、自分の世界観を書いていきたい。

▶ これでおしまい!


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