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シベリアふしぎ発見


終戦記念日ですね。同居人の誕生日でもあります。なんとなく祝いにくいですね。


戦争の話で思い出すのは、実家の近所のおじいちゃんに聞いた話。

おじいちゃんは若い時、外国で捕虜になって強制労働をさせられてたらしい。
ロシア的なところに連れて行かれた話を聞いたことがある。子どもでも飲みこめるように、楽しげに話す人だった。

戦後まもなく。敵兵に殺されずに、死ぬほど怒られただけで済んだおじいちゃんは、その代わり味わったことのない過酷でいかつい場所で働いた。

連れて行かれた場所はシベリア。面白くないという意味ではなく、寒すぎて草も生えない土地だ。

朝から晩まで-40℃の極寒で肉体を酷使した。もう「寒い」ではなく「痛い」らしい。
ちなみに「辛い」も突き詰めると「痛い」だから信用しない方がいいと聞いた。

労働の楽しみはメシだけ。しかし食事はお粗末極まりなく、雑草の混ざったパンや、めちゃまずトマトスープとか。味はひどくてお腹が減ってても食べられなかったらしい。一緒に連れてこられた日本人が次々に痩せて倒れていく。


そこでおじいちゃんは生き残った。何年も生きのび帰国した。
生き残るにはコツがいる、とおじいちゃんは言う。

「一日一食でな、バナナがでたことがある。バナナ。それを食べたやつは全員死んだ」

「バナナが腐ってた?」

「ちがう」

「毒が入ってた?」

「ちがう」

「…?」

「バナナ一本では体がもたないだろ。栄養失調になる。だからワシらはバナナを使ってあることをした。それはなんでしょう?」

急に世界ふしぎ発見システムでクイズが出た。陽気なおじいちゃん。シベリア帰りとは思えぬ好々爺よ。

トレジャーハンターからの質問に、脳内の野々村真は答えられなかった。「バナナを植えて増やした…?」みたいなこと言った気がする。ひとしくん人形は消えていった。

「正解は」

「バナナを餌にして、ネズミを生捕りにして食った!」

「え…」

「汚いところだったからネズミはよく出てねえ。ネズミを生で、皮を剥いで、むしゃぶりつく。ネズミ捕りが上手い奴だけ生き残ったよ」

めちゃくちゃ嫌な答えだった。クイズは答えていい気持ちになるべきだと知った。



8月初旬。これを書いている今日は、気温が一部地域では37℃を超えた。駅前のドリンク売り場で、ひんやり冷たいバナナジュースを買った。口の太いストローでゴクゴク飲み干す。ミキサーで砕かれたバナナが甘い。氷が混じり食感が良い。汗が引き、日差しを忘れる。

次の瞬間ドリンク売り場からネズミがツーっと前を横切った。ギョッとする。新宿ではよくある光景だ。歌舞伎町のネズミはデカい。

そんな組み合わせで思い出した話でした。

おわり。





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これくらい大きい


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ぐんぴぃ(バキ童・春とヒコーキ)
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