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芝居、難しいネ

お芝居の本番が始まっています。絶賛公開中であります。

稽古すること約1ヶ月。ガチの演劇は初体験です。演技に真正面から取り組むなんて言うと、照れ臭いしそんな大層なことはできてないんですけど。とにかくこの1ヶ月間ずっと心躍ってました。常に新鮮な発見がありました。

とはいえ、しんどい事もそこそこありました。
結論から言えば、僕が芝居を舐めていたのでしょう。

コントを生業にしていたり、落語をかじる程度にやったり、FANZA見放題チャンネルでしか見れない番組で、エッチなお姉さんとの再現ドラマに出演していたり。
劇団に客演させてもらったこともありますが、「大きな声を出すヤバいやつ」だったので役作りが不要でした。

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(カチコチTV最新回・カチコチモンスター略してカチモンの様子)


そんな程度で、お芝居を分かった気になっていたのです。僕の悪いところです。ファスト映画で満足するヤツと同じです。

当たり前なんですけど、お笑いの演技とは何もかもまるで違いました。

登場人物の心情や行動理由、加えて場所や距離感、呼吸量や声の出し方、体の動き方など生理的な領域、セリフの節回しなど、細やかな部分までコントロールしながら演技する他キャストをみて「これが演劇…!できる気がしねえ…」とベジータ震いしていました。

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コントなら「そういう体(てい)」の演技をすればいいのだけど、今回は「そこに居る」ことを要求されました。

よくいう話で、「フライパンで料理する」演技の場合。コントならエプロンをつけてフライパンをそれとなく振ればいい。
しかし演劇は、どんな人が・どんな気持ちで・どんなフライパンで・どんな背景で・どんな気温で・どんな文脈で・どんな過去があって等をふまえてフライパンをふるわねばならない(多分もっと沢山あるし深い)


稽古のたびに、表現の幅の狭さを思い知らされました。何度繰り返しても上手く言えない、動けない、自然じゃない。自分から出る音に辟易とする。達者な他キャストと比べ、未熟っぷりに脂汗が滲み出ることもしばしば。

セリフもまぁ覚えられない。
イチローが古畑任三郎にゲスト出演した際、全セリフを撮影前に暗記したという。曰く「素人が見せられる唯一の誠意ですから」とのこと。
この美談に憧れて稽古開始前にセリフを入れるつもりでしたが、全く頭に入らず、結局ギリギリまで台本を手離せませんでした。イチローってやっぱりすごいなぁ。ユンケル飲んじゃう。

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こんな体たらくな割に、僕はチョイ役ではなく、そこそこ重要め、なんならちょっと主人公めの役をやらせていただいてます。僕がダメなら劇全体が台無しになる。責任重大なのです。

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フライヤーを見たら総監督の欄に「平田オリザ」の名前があります。「池田エライザ」的なハーフモデルだと勘違いしてたおじさん。
むかし芸人友達に勧められて「演技と演出」「演劇入門」という本を読んだことがあります。当時は何が何だか分からなかったけど、稽古中に読み返したら非常にタメになりました。

こまばアゴラ劇場というのは彼が建てたそれなりに格式高い劇場らしいです。「アゴラで何やってんだ?」と演劇ファンに言われないようにしないと。



しんどいことばかり書き連ねましたが、はじめに書いたように基本的にはメチャクチャ楽しいのです。お笑いでは味わえなかった経験ばかり。視野がグイグイ広がる感覚があります。

演技テクニックを教えてもらったり、出せなかった声、表情が徐々に身についたり。他キャスト陣のストイックさに敬意を抱いたり。滑舌もやや改善され、セリフ覚えも早くなりました。


強く印象に残ってることがあります。
ある1シーンで俳優が演技を一つ変えただけで、お芝居の物語"全部"が何倍も面白くなる瞬間を目撃しました。演技パターンをたくさん試してカチッとハマった感覚。とたんに劇全体に血液がドクドク脈うって流れ出すような。

俳優の底力で、物語の意味合いをガラリと変えてしまった。こりゃすごい。魔法のようでした。

お笑いのネタだと、うまく伝わらない場合は台本を変えちゃうわけですけど。
ゴリゴリの演技力で突破できることもある。これを見れただけで、今回演劇に参加した甲斐があったってもんです。



今回ご一緒するMrs.fictionsは自分の憧れの団体なのもあります。前作「伯爵のおるすばん」は人生で一番好きなお芝居です(8月に再演するそうです)

Mrs.fictionsの面々が明らかに優しくいい人達でよかった。僕はめちゃくちゃ未熟ですけど、怒られたり強い物言いをされたことがありません。いま話題のパワハラ演出の逆。
本番60分前にぎっくり腰を発症した時も、かなり迷惑をかけたと思いますが「ぜんぜん想定内、大丈夫」といっさい責められませんでした。なんとか役に立ちたいね。


「バキバキ童貞」の要素が無い仕事、というのもじつは嬉しい。僕はいま99%がバキ童仕事だ。

当初は「お笑い」と「バキバキ童貞」の活動を明確に分けていました(バキ童経由の仕事を"童貞の仕事"と呼称していた)
しかし、最近はその辺が不可分になってきています。平場でバキ童弄りされるのも当たり前になりました。それはそれでお客さんも増えてありがたいし、腹も括ってるつもりなんですけど。

でもたまにはバキバキ童貞以外の仕事もしたくなるのです。何が「童貞を殺すセーターを着てみた!」だよ、と。ふとしたタイミングで正気に戻ることがあります。

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(なんで笑ってんだコイツ)

そんな不満に苛まれるなか、Mrs.fictionsの皆さんは「バキ童」ではなく、「春とヒコーキ」として呼んでくれました。こちらにもかなり感謝しています。

まだまだ書きたいことは山ほどありますが、ネタバレになるのでここまで!ぜひ観に来てください。


舞台「花柄八景」 千秋楽まであと半分!

5/23(月)までやってます!週末はわりと埋まってて、平日はいけるみたいです!

詳細

http://www.mrsfictions.com/next_2022_hanagara.html

チケットはこちらから
https://ticket.corich.jp/apply/121601/006/(ぐんぴぃ扱い)


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追記

このnote書いたらガクヅケ木田さんからLINEがきた

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なんで時間使ってわざわざこんなことするんだっ!?




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ぐんぴぃ(バキ童・春とヒコーキ)
身に覚えのない慰謝料にあてます。