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辞めない努力
芸人のコンビ解散や引退がめちゃくちゃ多いです。
先輩だってバンバン辞めるし、芸歴の浅い名も知れぬ後輩は言わずもがな。僕らの養成所時代の同期も全員解散しました。
ウエストランド井口さんが言ってましたが、打ち上げがなくなったのも結構大きいんだと思います。
コロナ前はライブでスベっても、飲み会で取り返せていました。芸人同士の宴席はただただ楽しい。打ち上げ目当てでライブに出る人だっていました。若手の頃はどうしてもスベる経験は多いので、救われた人は多いでしょう。
飲み会がやりにくい現状だと、若手たちはひたすらにスベるだけなのです。"壁と卵"じゃないですけど、えんえんと高く冷たい壁に卵を投げつけては割っているイメージ。そら辞めます。持ちませんわな。
卵をぶつけても割れないクッションがいるんです。
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これは"卵を踏んでも割れないクッション"
通販のコールセンターをやってた時、これがTVで紹介されると鬼のように電話が鳴るから嫌いでした。
僕はコロナ全盛期に芸人同士でルームシェアをしていました。
陽性者が出ると同居人全員が活動できなくなるため、当時は困ったもんだと頭を抱えていました。
しかし、もしあのときルームシェアをしていなければ。孤独の中、今も芸人を続けられていたか分かりません。家に帰れば4人も奇人がいるというのは、じつは救いだったのかもしれません。
同居人だったサスペンダーズ古川さんは「一緒に住んでいなければ辞めていたと思う」とシェアハウスを解消する夜にこぼしていました。
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先日、エロ漫画界のレジェンドである師走の翁先生とお話しさせていただく機会がありました。
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エロ漫画業界って、離職率がめちゃくちゃ高いそうです。ほとんどの作家が単行本を1冊描いたら辞めてしまう。「俺は学校で1番エロいぜ!」と息巻いて業界に参戦するも「あれ、俺、思ったよりエロくないんだな…」と気付いて去っていく。出し切っちゃうらしい。
芸人も似ています。
「自分、そんなに面白くなかったな」「意外にお笑いが好きじゃなかったな」と気付いてリタイアしていく。どの世界も同じなんでしょうか。
ちなみに師走の翁先生は今年で画業25周年。それだけで途方もなく偉大なのです(しかも第一線で活躍されている)
ご本人も「俺は相当エロい」と豪語していました。
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(師走の翁先生に描いてもらった。鬼畜おじさんみがある)
エロ漫画トークライブでは「辞めないための努力が必要」というお話をされていました。師走先生に関して言えば「いろんなタイプのヒロインを登場させて飽きないようにする」など。
辞めないための努力とはなんでしょうねぇ。僕にとってのそれは「YouTubeでなんとか食える状態にしておく」ことでした。
スパッと辞めた方がいいこともあるので、一概に「辞めない努力をするべき」とは言えませんが。
僕のnoteで頻出のレンタルぶさいく(元フェー篠原)は「芸人はダラダラ続けてはならない」という考えの持ち主でした。
芸人→レンタルぶさいく→ミスター・オリンピック→パワプロ音量100おじさんと、たびたび見切りをつけては職を変え、現在はフィリピンの豪邸に暮らそうとしています。多分幸せなんだと思います。
でも本当は篠原さんには芸人を続けて欲しかった。めちゃくちゃ面白かったので。辞めない努力をする篠原さんも見てみたかったな。
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今やってる「花柄八景」と言うお芝居。近未来の落語家の物語です。
このお話のテーマは、一言で言うと「表現を止めない人間の話」です。
この劇を見た方の感想で「コロナ禍で辞めた役者がもう一度やり直そうと思えるお芝居」と書いてありました。そうなのです。辞めない努力。やり直す能力。
主宰のMrs.fictionsはコロナ禍で活動を休止していて、3年ぶりに「花柄八景」で再始動しました。活動を止めるのに理由がいるように、再開するにも理由がいる。それこそが「花柄八景」の中にあったといいます。
みんなが辞めていく、もう何もかも冬の時代だからこそ、見てもらいたいお芝居だなぁと思っています。
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5/23(月)までやってます!
詳細
http://www.mrsfictions.com/next_2022_hanagara.html
チケットはこちらから
https://ticket.corich.jp/apply/121601/006/(ぐんぴぃ扱い)
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コウメ太夫のドラマを見る感覚できてください!これ、めちゃくちゃ面白そう!
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