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ぐん税ニュースレター -お客様訪問- バックナンバー 2021年4月号

お客様との対談 ~城東電機産業株式会社~

この記事は2021年4月に発行されたニュースレターvol.18から「お客様訪問」の記事を再編集したものです。最新情報ではなく、掲載当時の内容に基づいておりますので予めご承知おきください。

創業のきっかけ

小林浩一:こんにちは。この事務室は柱がなくて広々としていますね。弊社の記録によると御社は昭和44年2月からの関与先ということで、私の父親の代からの52年のお付き合いとなります。私の生まれた年が昭和39年ですが御社は昭和37年に創業です。最初に、創業のきっかけを教えてください。
城田卓巳社長:私の叔父の城田賢一が弟3人と4人で始め、すぐに親族外社員2人が参加しました。年齢順に、城田賢一が長男で私の父の孝が2番目です。現監査役の義明が3番目で、数年前に亡くなりましたが秋夫が4番目でした。
城田賢一が孝に社長の座を譲り、その後、父から私に社長交代となったので私が3人目の社長となります。最初は納屋で配電盤等を製造し、4年後に工場を新築して配電盤の外箱の塗装や板金を始めました。

城田卓巳社長

小林:昔は江木あたりも田畑が多かった記憶があります。今は住宅地でそんな感じは全くありませんが。
城田社長:もともと城田家は江木町の農家で、私が子供の頃は豚や鳥も飼っていましたよ。1970年代のボーリングのブームの頃にはピンを立てる機械の制御装置を製造して日本全国のボーリング場に設置するようなこともありましたが、ブームは5年ほどで終わりました。その後は配電盤等の製造が主になり、大手建設会社に出入りしているサブコンや大手製造業との取引が始まりました。

小林:御社がそのような大手取引先から受注できる理由として、御社ならではの強みは何だと思いますか?
城田社長:弊社の強みはオーダーメイドの注文に応えられ、大型物件も含めて顧客ニーズに合った幅広い対応が可能なことです。
小林:大型物件を扱うには条件があるのですか?
城田社長:設計のノウハウや知見はもちろんですが、大型物件を受注すると、工場が物理的にも人員的にもいっぱいになって、他の物件の製造ができなくなってしまいます。弊社は大型物件を保管するスペースもありますので、設計能力と工場の生産能力の2つを併せ持っています。

小林:品質に関してはどのような点が評価されているとお考えですか?
城田社長:弊社では営業から納品まで全工程を通して品質を作り上げています。簡単な製品は量産メーカーが安く作ります。弊社は規模が大きいので、差別化を図るためには大きな物件を扱わなければなりません。そのためには、高度な生産技術と徹底した品質管理が欠かせません。
小林:電気はいろいろなところに使われておりますので、御社の強みを生かせば幅広い製品を受注できるのではないでしょうか?
城田社長:受注産業なので建設業界の景気に左右されますが、特定の産業に依存するということではありません。例えば、半導体の工場の建設が終わったと思ったら、今度は太陽光発電機器の工場の建設、病院の増改築など、日本経済の全般に関係しています。ただし、JRの変電所や原子力発電所といった特殊な業界は仕様が決まっており、受注できるメーカーも決まっていて、弊社では受注ができません。弊社では民間のビルや工場などの物件を中心に首都圏一円から受注しています。

小林:一方で、弱みは何かございますか?
城田社長:最近は新卒の入社が少ないことですね。特に板金や塗装は若い方が嫌う3Kの仕事ですので、新卒や若い中途社員を採用するためには機械化、自動化が必要だと思います。
小林:そうですね。加えて、御社の製品は消費者向けではないため、一般の人には何を製造しているか分からないので、就職市場で若者にアピールできていないという点もあるのだと思います。例えばリニアモーターカーに関連
した製品を製造するなど話題性のある目玉製品の受注ができれば宣伝にな
るのではないでしょうか。
城田社長:私が社長になった頃、ちょうどアベノミクス景気が始まった頃でしたが、仕事の幅を広げようとしたことがありました。しかし、進出しようとした市場には専門業者がついており、既に専門分野に強いメーカーが取引を行っています。仕事の幅を広げるのが難しいため、お客様の幅もなかなか広がりません。お客様の幅が広がらなければ、オーダーメイドのため、製品の幅を広げるのも難しいということがわかりました。

小林:それでは御社にとっての脅威として、競争相手の状況はいかがですか。
城田社長:群馬県で組合に加入している会社の中で、弊社は上位に位置していると思いますが、競争が厳しく、営業力の維持が必要です。コロナ前のように設備投資が増えていれば、物件数があり、単価が上がりますが、コロナに関わらず全体的には少子高齢化で設備投資が減り、物件が少なくなっています。
小林:後継者がいないため、これから同業者の廃業も増えるでしょうね。そうすれば、供給者が減って、競争が和らぐのではないでしょうか?
城田社長:その可能性はあります。製造業を続けていくのは大変です。

今後の展望

小林:10年後は御社をどのような会社にしたいですか?
城田社長:いろいろなことができる人を育てていきたいです。20~30年前は入社した即日でも現場に出すことができましたが、今はお客様も現場も厳しいため、教育していない社員を現場に連れていけないのです。なので社内で時間をかけて育てる必要があります。また、以前に比べて工業高校から大学に進学する学生が増えたため高卒人材の採用が難しくなっています。就職先も待遇やネームバリューで選ばれる時代です。中小企業は付加価値を上げて、生産性を高め、給料を上げていかなければなりませんね。
小林:御社は無借金経営かつ経常利益率を常に10%以上確保しているなど、超優良企業ではあるのですが、今後は社会や産業構造の変化が加速的に速くなるために将来に備えて先回りしておくこと、つまり思い切った先行投資が必要だと思います。数年後はガソリン自動車がなくなって電気自動車のみになるなど今までの常識が通用しなくなります。企業の存続のためには投資を行い、付加価値を上げる努力が必要ですね。
城田社長:確かに同じことをやり続けられないですね。この業界でも部品自体は進化しており、20年前よりコンパクト化し、消費電力が少なく、能力が高くなっていますが、基本的な部分は変わっていません。どうやって生き残るかを考えていかなければなりません。
小林:本日はありがとうございました。

社名:城東電機産業株式会社
住所:群馬県高崎市吉井町岩井73番地
業種:配電盤、制御盤、分電盤等の設計、製造、電気工事業
創業:昭和37年
設立:昭和41年法人に改組
売上高:30億円
社員数:107名
代表取締役:城田卓巳
昭和37年に高崎市江木町にて創業し、配電盤、分電盤、制御盤等の製造を開始した。昭和41年に(有)城東電機産業に改組し、配電盤、自動制御部門を主体として板金部、塗装部を併設し、板金より塗装、計装、検査に至るまで一貫作業を確立した。昭和44年に城東電機産業株式会社に改組し、平成8年に吉井町に吉井工場を新築した。高度な生産技術と徹底した品質管理が国内の大手取引先から高い評価と信頼を受けている。

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