
HarmonyOS:ファーウェイが目指しているのは?
こんにちは、ぐんぐんです。
初めて投稿した記事がたくさんのスキをいただきました。本当にありがとうございました!
これからもたくさんの記事を書くように頑張ります!
さて、今日は、ファーウェイが6月2日に発表した「HarmonyOS 2」について、少しご紹介したいと思います。
実は、Yahoo!ニュースで検索したら、
ファーウェイ、「Android」に代わる「HarmonyOS 2」をスマホに搭載へ
このようなタイトルのニュースがほとんどです。
下のコメントを見ても、みんなの注意点は主にHarmonyOSとiOS、androidとの比較です。
もちろん、HarmonyOSはファーウェイのスマホに搭載しますが、それだけの話ではありません。
実際に6月2日に開かれた発表会の中で、スマホ、ウォッチ、タブレット、モニター、たくさんのデバイスを使ってHarmonyOSの特性を紹介しました。
なかなか理解いただいていない方は多いかなと思いますので、これからはゆっくりご紹介したいと思います。
鴻蒙誕生
HarmonyOS、中国語では「鴻蒙(ほんもん)」と呼ばれています。
実はこの言葉の由来は、日本でも有名な中国の文学作品『西遊記』と関係があります。
『西遊記』の冒頭に、このような詩が書かれています:
混沌未分天地乱,茫茫渺渺无人見。
自从盤古破鴻蒙,开辟从兹清濁辨。
覆載群生仰至仁,発明万物皆成善。
欲知造化会元功,須看西游釈厄傳。
最初の2行で書かれた内容は、盤古天地開闢(ばんこかいてんびゃくち)という中国神話の話です。
盤古は、天地がまだ分かれない卵のようなとろとろの状態の中で誕生し、その中で十万八千年を眠っていました。ある日、彼が目を醒めて、斧を使ってその卵を二つに破り、天と地を作りました。
『日本書紀』にも、「古(いにしえ)に天地未だ剖(わか)れず、陰陽分れざりしとき……」と書かれ、盤古天地開闢と似たような状態です。
この天地が互いに混ざり合っている状態は、混沌(こんとん)と呼ばれ、もう一つの名前は鴻蒙です。
つまり、鴻蒙は世界の全体です。
HarmonyOSのホームページを開くと、「one as all, all as one」の英語があります。
まさに鴻蒙の英訳の感じですね。
話が抽象的でわかりづらいかもしれませんが、HarmonyOSはスマホのシステムではないことだけを理解していただきたいです。
ファーウェイは、鴻蒙の言葉のように、未来のデジタル世界をHarmonyOSで作っていくという要望を持っています。
HarmonyOSは、スマホのためのシステムではなく、全てのデジタルデバイスのためのシステムです。
なかなか話が大きいですね。
では、なぜこのようなシステムが必要でしょうか?
アプリの次へ
そもそも私たちが生活している現在、デジタルデバイスの状況はどうなっているでしょうか?
スマホとパソコンの処理能力は年々上がっていき、生活に欠かせない存在になっています。
また、スマートデバイスも近年はやってきて、家のスイッチや家電などもスマホやスマートスピーカーなどで操作できるようになりました。
これはいいですね。
これでいいのか?
今、そういったスマートデバイスを使うときの場面を想像してみてください。
スマホと連携させるには、まずアプリをダンロードしなければいけません。違うブランドの製品なら、それぞれのアプリをダンロードする必要がありますよね。
また、スマホとパソコンは個別で使うと全く問題ないですが、データの共有が少し面倒くさいです。場合によって、変換ケーブルまで使うことも少なくはないですね。
これで本当にスマートと言えるのか?
iPhoneが誕生した前の携帯市場、スマートフォンという概念がまだ存在しなかった。
なぜなら、その時の携帯はネットに繋げられるが、システムはパソコンシステムを基準に設計されたもので、小さい画面を見ながらキーボードで操作することが一般的でした。
これはスマートとは言えません。
そこで、iPhoneが登場した。
画面に表示された内容を直感的にタッチしたら、直ちに反応が起きる。
この革命的なインタラクションが、携帯をスマホに進化させた。
そして、iPhoneと一緒に登場したのが、アップルストア。
アプリケーションという形態が、今のスマホ時代の基盤を作りました。
しかし、アプリにも欠点があります。
まず、アプリは容量があります。そして機能の進化とともに、容量もどんどん膨らんでいます。たくさんのアプリを入れたら、容量がなくなり、スマホの処理が遅くなります。
また、アプリは完成形のプログラムであり、随時の変更ができません。バージョンアップするときは、必ず更新する必要があります。
開発者にとって、同じアプリの内容でも、デバイスが変わったら、また新たに開発を行わなければいけません。
全てのデバイスに対応することは、非常に苦しい仕事です。
今後、新しいデジタルデバイスの数はまだまだ増え続けます。
この開発方法では限界がそろそろくると思います…
そのため、HarmonyOSが登場した。
HarmonyOSは、三つの特性を持っています:
1、すべてのデバイスに対応する統一された OS
2、ハードウェア相互支援、リソース共有
3、ワンタイム開発、マルチターミナル展開
HarmonyOSを使った開発は、パズルを組み立てるみたいなものです。
開発者にとって、デバイスの状況により、必要なパーツ(機能)をピックアップして、デバイスに入れたら完成です。
そして各デバイスの間は、パーツの共有もできます。
これは便利ですね。
まさに魔法です。
(HarmonyOSの技術概要について、こちらの記事が詳しいです:https://qiita.com/Rei_2020/items/967902a72bc07a330c5d)
「連携」がすべて
技術面以外に、ユーザーが体験できるHarmonyOSは、どのような特性があるのか?
それは、連携です。
HarmonyOSスマホ上のコントローラーページから、このような新しい画面が出てきました:
この画面の中、自分の周りの全てのHarmonyOSデバイスが表示されています。
真ん中の青色の玉は現在使っているデバイスで、「super device」と呼ばれます。そして周りの小さい白い玉は、接続可能なデバイスたちです。
この画面を見て、どのようにデバイスを接続か考えてみてください。
答えはとても簡単です。
指で白い玉を真ん中の青い玉のところにドラックすればokです。
アプリを開いてボタンを選択するとかの操作は一切なく、この一歩で完了。
どうでしょう?
これ以外の接続方法もあります。
「super device」を持って、接続したいデバイスのところまで行きます。そしてワンタッチ、これで接続もできます。
ドラックとタッチ、この二つの動作で、全てが連携されます。
デバイスを接続したら、それぞれの特性を生かして、これまで想像できなかった体験が可能になります。
前回ご紹介したMateViewディスプレイも、HarmonyOSによって潜在能力が発揮できます。
連携以外にも、HarmonyOSの面白い点は非常に多く、ここで全て説明することは難しいです。興味のある方は、ぜひこちらのビデオの30:10からご視聴いただければより詳しい内容がわかります!
なぜファーウェイか
ファーウェイが想像している未来は、今の流行りの言葉で言い換えるとIoTです。
全てのものがインターネットによって連携されている未来、これを目指している会社はもちろんファーウェイだけではありません。
Googleは次世代システムFuchsiaを開発していて、AppleもiOS、iPadOSとmacOSの統合を図っています。IoTについて、多くのトップ企業が模索しています。
では、なぜファーウェイが最初にHarmonyOSを世に出したのか?
近年ファーウェイのニュースを見ていた方はご存知かもしれないですが、ファーウェイはアメリカから制裁されていて、Androidも使えない状態になりました。
そしてファーウェイは仕方なく慌ててHarmonyOSを作りました。
っていう考え方は自然ですね。Yahooもそう書かれています。
でも、ファーウェイは2012年からすでにHarmonyOSの開発に着手し始めました。
アメリカの制裁は、それを加速させているだけです。
ただAndroidの代替を作ることは、何の意味もないです。むしろ、スマホシステムの戦場では、もう誰もAndroidとiOSを勝てることができません。
だから新しい領域に行かなければなりません。
ファーウェイは、未来を賭けています。
そのために必死で走っています。
ファーウェイが目指しているのは、下の土地ではなく、頭上にある無限の星空です。
1941年、アタナソフ&ベリー・コンピュータ (ABC) がアメリカで開発されました。
これが世界最初のコンピュータです。
その時のコンピュータは、海の中の一つの島みたいに、方向も知らず、ただひたすらに計算し続きました。
そのまま30年近く経ちました。
1969年、初めてのネット通信実験が行われました。
一つ見えない糸が、コンピュータをつなぎました。
あの日から、新世界の幕が開けたーー