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GW杯Vol.3 決勝戦 白使人VSR.R.Zinnia 観戦記事「赤と白」


 「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではない」とはシャア・アズナブルの有名なセリフであるが、それはカードゲームにも言えるのではないだろうか。

 たとえデッキパワーが劣るマッチアップであっても、相性であったり、プレイングであったり、あるいはデッキやルールの知識によってデッキの性能差をひっくり返して勝つことができるのも、カードゲームの醍醐味の一つである。

 R.R.Zinniaが今回持ち込んだデッキは、まさにその醍醐味を存分に味わえるデッキであろう。
 通称「アフリカロック」。

 この17弾環境では、カードパワーのインフレに振り落とされ、めっきり見なくなったデッキである。
 デッキを構成するカードにも近年の強力なカードはほとんど採用されていない、いうなれば『型落ちのMS』のようなデッキではあるが、しかし、 R.R.Zinniaは「カードをプレイするために必要なG基盤を攻めて機能不全に陥らせることができる」という他には見ないこのデッキの個性が、多色がフィーチャーされたこの環境で「メタ的な優位性」を持っていることを見抜いた。
そして誰もこのデッキを予想しえないだろう「奇襲性」を見込んで使用し、実際にここに来るまで数多の格上のデッキたちを下すことに成功し、ついに決勝の舞台までたどり着いた。

 願うはあと一回の「番狂わせ」。
 しかし、その「あと一回」に待ち受ける相手こそが最大の難所となる。

 スイス通算成績 12勝1敗2分 勝率92.3%、そして3度の大会で3度の決勝卓。
 疑いようもなく、GW杯という環境における最強のプレイヤー『白使人』。
 その名の通り、どんな環境でも白単しか使わないというそのポリシーを貫きながらも、予選・決勝問わず圧倒的な勝率で対戦相手を下し続ける。
 卓の向こうについたプレイヤーからすると、まさしく「白い悪魔」といったところではないだろうか。

 この「白い悪魔」相手に、戦力差をひっくり返す大番狂わせを起こすことができるのか、R.R.Zinniaの挑戦が始まった。

Game1

 白使人の立ち上がりは白基本Gを置いてからの「L-3 X18999 コロニー」。

 キャントリップ付きの壁で手札を回転させていきながら相手の攻めを止める白デッキ定番の立ち上がり。
 白使人のデッキ『白単中速』は中盤以降のユニットの性能差では他のデッキの追随を許さないパワーがあるため、「コロニー」スタートができたことで、その得意な中盤につなげやすい絶好のスタートを切ったといえる。 

 対するR.R.Zinniaは赤基本Gから「ガルスJ(マシュマー・セロ機)」。
 1つの戦闘エリアへ単独でしか攻められないデメリットの代わりに、1ランク上の高スタッツを備えた速攻ユニットで早くも攻めの姿勢を見せる。

 返すターン、白使人は白基本Gおいてターンエンド。着々と中盤へ向け準備を進める。

 中盤までには大勢を決したいR.R.Zinniaはここで一気にアクセルを踏む。
 「ハマーン・カーン支持派」

 1ターン後に自壊するが、一瞬だけ国力を2発生させることができるブースト特殊Gを出し、追加のアタッカーとして「ペズ・バダラ」、そしてデッキのキーカード「アフリカ独立解放戦線」を着地させた。

  そのまま、「コロニー」が出撃できない地球エリアから「ガルスJ」でダメージを与え、「アフリカ独立解放戦線」の能力で白使人のG1つに解放コインを乗せる。

 これによって一気に戦況が厳しくなった白使人。
 白単は指定国力の縛りが強いカードが多く、白国力を縛られることがクリティカルに刺さってしまう。

 立て直しを図る白使人は白基本Gを追加して勢力を維持。
 さらに「中東国の支援」から「プラント最高評議会」とドローソースを連打することで後続のGの確保と、ロックに歯止めをかけるカードを探しに行く。

 返すR.R.Zinniaのターンで「ハマーン・カーン支持派」が廃棄されるも、「貴族主義抵抗派」でGを補充し、戦闘フェイズに入る。

 どのようにアタックするか小考の後、宇宙エリアにコロニーを突破できる「ペズ・バタラ」、地球エリアに「ガルス・J」と差し向ける
 
 これに対し間髪いれず白使人は「バタラ」をコロニーでチャンプブロックし、反対側の「ガルス・J」の攻撃が通す。
 しかし、ここで攻撃が通ったことで、また一つ白基本Gが無力化される。
 
 「白使人」はもらったターンで「プラント最高評議会」の能力は使わず、そのままドロー。
 そして反撃開始とばかりに、「アークエンジェル」、「ストライクノワール」と続けてプレイし、ターンを返す。

 もう戦場にいるユニットでは「ノワール」を抜くことができず、さらに「アークエンジェル」のリロールインも効いて両面共にカバーができている。
 R.R.Zinniaの「タイムリミット」はもう目前に迫っていた。

 何とかここでゲームを決め切りたいR.R.Zinnia。
 赤基本Gから「密約」、さらに「サラサ再臨」、「サラサ再臨」、「サラサ再臨」とドロースペル四連打。

 デッキの半分を堀り下げてまで探したカードは何だったのか?

 R.R.Zinniaは手札からオペレーション「幻のコロニー」をキャスト。
 残り2枚のうちの一枚の白Gをさらに縛りにかかる。

 そして戦闘フェイズに移行を宣言したところで白使人から「ベズ・バタラ」のテキスト確認が入る。

 デメリットがさして影響がないことを確認し、戦闘フェイズに「バタラ」を「部品ドロボウ」によってバウンス。
 盤面のみを見れば戻す必要がなさそうだが、先ほど探しに行ったカードが除去であれば別。
 そう読んだ「白使人」はアタッカーを減らし、維持でも攻撃を通さない姿勢を見せる。

 R.R.Zinniaは「ペズ・バタラ」出し直した後に「撤退命令」で「ストライクノワール」を手札にバウンス。

 もし、「部品ドロボウ」を使わずに戦闘フェイズに入っていたら、そのままロックされていただろう・・・
 白使人、流石の慧眼といったところである。

 しかし、ここでロックは免れたものの、巻き返すには手数が足りず、返すターンも「ストライクノワール」を出し直しただけでターンを終える白使人。

 R.R.Zinniaも勝負のターンが続く。
 ドロー後「洗脳教育」をプレイ。

 これを相手ターンに起動すれば白いGは残り1枚。
 ついにロックに王手をかける。

 戦闘フェイズに入って両面からユニットを送り出す。
 当然白使人も「ノワール」「アークエンジェル」で迎え撃つがここで再度の「撤退命令」。
 「ノワール」を手札に返して本国にダメージを通し、最後1枚の白基本Gをも紫国力に塗り替える。

 渡したターンで「洗脳教育」起動。ついに完全ロック。
 白使人は「プラント最高評議会」起動から交換した手札見て、長考。

 しかし、いかに白使人といえど1枚のGも白がでない状況では、逆転の一手を見つけることができず、盤面をたたむことしかできなかった。

 R.R.Zinnia 1-0 白使人

Game2

  相手のデッキが判明したGame2、白使人は手札6枚キープでスタートした。
 まずは白基本Gを置いてそのままターンエンド。
 
 ゆったりとした立ち上がりの白使人に対して、R.R.Zinniaは先ほどの勢いそのままに、最初からアクセル全開で行く。
 赤基本Gから「バタラ(バーンズ・ガーンズバック機)」

 その「バタラ」に「オウギュスト・ギタン」をセット

 そして「幻のコロニー」で白Gをロックしてエンド。

 4点クロックとGのロックを両立される、これ以上ない立ち上がりとなった。

 1ターン目から白Gを無効化されては「ハッキング」も「プラント最高評議会」も使うことはできない。白使人はただ白基本Gを置くのみでエンドとなる。
 R.R.Zinniaの猛攻は止まらない。
 赤基本Gから「洗脳教育」

 1Gたりとも逃さずに完封する構えを見せながら、「バタラ」で攻撃し、ターンエンド。

 返したターンで「洗脳教育」で白Gを1枚ロック。
 ならばと白Gを伸ばしたいところだが・・・
 ここで白使人のGが止まる。

 続くターン。R.R.ZinniaもGが止まるが、相手の盤面が止まっているなら何も考える必要はない。「バタラ」で攻撃してエンド。

 そして「洗脳教育」でロック。 
 

束縛するオペレーションの鎖

 白使人、またもGを引けず、ついに手札が溢れてしまい「フリーダムガンダム(ミーティア装備」をディスカードする。

 いかに「白い悪魔」とあっても、ガソリンともいうべきがGが使えない状態になってしまっては、そのプレイングを披露する余地も、洗練された構築を活かす場面も訪れない。

 先に3枚目のGにたどり着いたのはR.R.Zinnia。
 「ハマーン・カーン支持派」を置き、「密約」。

 引いた手札からフィニッシャーとなる「ゲルググ(エロ・メロエ機)」


 そして止めとなる「アフリカ独立解放戦線」

 相対するデッキの名前を冠するこのオペレーションの着地を見て、白使人はついに投了を宣言した。

  R.R.Zinnia 2-0 白使人

 「スイスラウンド5回戦、シングルエリミネーション2回戦、7戦目にしてようやく仮想敵だった白単に出会えました。」

 そう語った「R.R.Zinnia」。
 彼のビジョンには、この大会には「白単」が多く存在し、そして戦うであろうことを最初から予見していたのだ。
 多色環境をメタったプレイヤーは何人かいたが、多色デッキと同時に「白単」デッキをも同時にメタったプレイヤー・・・序盤から強烈にロックをかけることで色拘束の厳しい「白単」に勝てる『アフリカロック』にまでたどり着いていたのはR.R.Zinniaだけだった。

 「戦いは二手三手先を読んで行うものだ」とはシャア・アズナブルの有名なセリフであるが、デッキ選択の段階から他のプレイヤーより先を読んでいたR.R.Zinniaが、優勝したのは必然だったかもしれない。

 三代目ガンダムウォー杯チャンピオンはR.R.Zinnia!優勝おめでとう!


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