見出し画像

GW杯Vol.4 決勝戦 白使人VSしで 観戦記事「英雄には試練を」

 「決勝で会おう!」
 シングルエリミネーションが始まる前に交わされた約束は
 「しでさん、フラグ立てるの上手いね〜」 
 という言葉と共に果たされることとなった。

 「しで」と「白使人」。

 二人はこの大会に向けて、連日共に練習してきたスパーリングパートナーであり、過去何度もイベントで邂逅し、その度に激闘を繰り広げてきた友人ともライバルともいえる存在である。

 その2人が揃って決勝の舞台に立っているという事実は、それだけ濃密な練習期間を過ごしてきた証拠に他ならない。

 しかし、ここから先、栄冠を掴めるのはどちらか1人。

 お互いを認めているからこそ、負けたくない。
 プライドを賭けた戦いが今始まる。

Game1
 
スイスラウンド上位のしでの先手で始まった決勝戦。
 序盤はお互いGを置くのみでターンを返す、静かなスタートで幕を開ける。
 先に動きがあったのは「白使人」。3枚目の白基本Gを置くと、白の定番ドローコマンドである「中東国の支援」で手札を補充。

 そしてこの環境で白の強さを一段階引き上げた新戦力の一枚、「ガンダムアストレイ・アウトフレーム(バックホーム装備)」を戦場に送り出す。

 さらに迷いなく続けざまに「カガリ・ユラ・アスハ」。

 手札が溢れるのも厭わずドローを進める。

   ゆったりとした立ち上がりの空気から一転、瞬く間に開戦間近といった雰囲気になる。
 しでの操る『青茶第7次』は基本的に妨害に特化した「守りのデッキ」である。
 この急展開にも恐れず焦らず、山場となるのは「戦闘」が始まってから・・・と悠々と構えておきたいところだが、ここでアクシデント。

青単第7次

 4枚目のGをヴァリアブルで置いたところだが、よく見ると茶色が発生するGがない。
 いわゆる多色デッキの弱点ともいえる「色事故」である。

 茶Gを探して「戦場の鈴音」をプレイするが、ハンガーに送られたのは「第7次宇宙戦争」と「A.W.」。
 願いをあざ笑うかのような指定国力茶2のカードたちがめくれていく。

「今じゃない」ときによく駆けつけるデッキの主役

 並の使い手が相手であればともかく、相手はGW杯通算勝率88%を誇る白使人。この隙を逃す訳もなく、ここから苛烈な攻めが始まる。

 4枚目のGを置いた白使人は、この環境で益々輝きを増した「ストライクノワール」をプレイ。

バックホームの補給により継戦能力も獲得

 さらに続けざま「ヴォアチュール・リュミエール」を使って2枚目の「ストライクノワール」!
 アドバンテージの損失には目もくれず、一気にダメージを最大限まで上げていく。

 たまらず「身勝手な懇願」を使い、この一撃をやり過ごすしで。

 続くターンに「急ごしらえ」を使い、そろそろ茶基本Gを手に入れたいところだったが、残念ながら置いたのは青基本G。
 今は耐えの時間、とターンを返していく。

 白使人の無慈悲な攻めは続く。
  先ほど「バックホーム装備」の効果でハンガーに送った「フリーダムガンダム(ハイマットモード)」を戦場に追加。
 この時点での理想的な最大戦力での高火力の一撃を叩き込み、大きくしでの本国を削っていく。

 返すターンで、念願の茶基本G1枚目にたどり着き、なんとか体勢を建て直そうと茶Gを置くも、その瞬間に突き刺さるカットイン「切り開く力」。

 1度優位に立ったら反撃の糸口を掴ませずに勝ち切る。
 白使人が脅威的な勝率を誇っているその要因は、この優勢な状況から主導権を手放さずに寄り切る剛腕から来ているのかも知れない。

 ターンをパスせざるを得なくなったしでに対して、白使人は「フリーダムガンダム(ミーティア装備)」を戦場に送り込む。

 ここまで毎ターン、その国力帯で最も強力なユニットを追加していく白使人。
 もはや次の一撃は必殺の威力となっていた。

 しかし、この状況でもまだしでの目は死んでいない。
 如何に強力な一撃であろうと、本国が残り僅かであろうと、このデッキであればまだ勝機はある。
 ここに至っても茶基本Gをドローすることはかなわなかったが、ヴァリアブル「周辺警護」を置いてターンを返す。

 白使人の勢いは止まらない。もはやオーバーキルとも言えるような「デストロイガンダム」のプレイ。
 デッキの最高地点7国力が必要となる、この大型ユニット送り込み、攻撃を宣言する「白使人」。

 この攻撃を再び「身勝手な懇願」により耐えるしで。

 生還したターンの開始時、しでが動く。
 ハンガーに送り込んでいた二枚の「星の鼓動は愛」のうち一枚をプレイ。

第7次の隠れた主役

 本国の枚数が少なくなってしまったこの状況だからこそ、「星の鼓動は愛」は輝く。
 ジャンクヤードのドローソースと戦闘回避コマンドを一気に戻すことで、本国の濃度を飛躍的に上げ、相手の攻撃を回避し続けることが実現可能になる。

 これこそ青茶第7次の黄金パターン、「星の鼓動は愛」によるループ。

 しでは色事故という状況に陥り、猛攻を受けながらも、このプランでの勝利をずっとうかがっていたのである。

 ・・・が、しかし、それすらも白使人の読み筋だった。
 しでの最後の望みを打ち砕く白使人の「カットイン、ロゴスの私兵」の声が上がる。

この環境からはメインからもジャンク対策が入る

 的確に「身勝手な懇願」二枚を指定され、残りのジャンクヤードからなけなしのカードをデッキに戻したしでは「戦場の鈴音」「宝物没収」とプレイした後、目論見が潰えたことを確認し、投了を宣言した。

 しで 0-1 白使人

Game2
 連日練習を行っていたこともあり、互いのサイドボーディングも、サイド後のゲームプランも、おおよその手の内を知り尽くしている二人。
 幾度も繰り返したであろうサイドチェンジを速やかに行ったしでに対し、白使人は小考し、確認しながらサイドチェンジを終進めていく。
 相手の色事故から先程のゲームを拾ったものの相性的には不利な相手。あと1本を取るために思考を巡らせ続けていたのだろう。

 入れ替えが終わり、お互いサイドボードの枚数を確認しあった後、運命の第2ゲームが幕を開ける。

 先ほどのゲームでは中々手に入らなかった茶基本G二枚を並べるスタートになったしで。
  相対する白使人は「L-3X18999コロニー」を並べていく。

  3ターン目には青国力を「周辺警護」ヴァリアブルによって調達し、「急ごしらえ」で手札も補充して万全の体勢を作り上げる。 
 それを感じてか白使人は3ターン目にしても動かず、白基本Gを置くのみでターンを終える。

 4ターン目。Gを置いた後、珍しく長考するしで。
 ・・・結局、そのまま何もせずにターンを返す。

 「もし相手が白使人でなかったら、この選択は取らなかった」と後に語ったしで。
 このパスターンの一手という選択がゲームの趨勢を決めることになる。

 4枚目の白基本Gを置き、「中東国の支援」を打った後、ここまで動きのなかった白使人からとっておきの秘策が飛び出す。

白使人の奥の手

「ガンダムアストレイ・アウトフレーム」をプレイします。
 滅多に見ないカードが飛び出したのを見て、しでが苦々しい声を出す。
「念の為テキスト確認いいですか?多分それが死刑宣告になると思うんですけど。」
   
   いつものように飄々とした声でテキストを読み上げる白使人。
 要約すると、攻撃に出撃したとき、または戦闘中のとき限定で起動出来る、相手のコマンドやオペレーションを奪うことのできる能力を持つユニットである。
 戦闘力も低く、除去耐性も持ず、4国ロールインと立ち上がりも遅いという様々なデメリットを踏まえると、ほとんどのデッキ相手には有効ではない、このピーキーなカードのために貴重なサイドボードの1枠を割こうとするものは、少ないだろう。
 しかし、白使人が採用したこのカードは、この『青茶第7次』戦においては相性差を覆し、ゲームを決めるまでに効果的だった。

 しでは「戦場の鈴音」で解決策を探しにいくが、めくれたのは「∀ガンダム」と「青基本G」。
 どんな一手を指そうとこのままでは不利になる一方と感じたしでは、青基本Gを置いた後、「破滅の終幕」で全ての盤面と手札を捨て山に還し、運否天賦のゲームに持ち込むことを選択した。いや、させられた。

 本来であれば、手札をフルに活かしてじっくりとゲームを進めたかったであろうが、こんなキラーカードが出てしまっては何を置いても除去する他はない。
    いや、逡巡した前のターン、「∀ガンダム」「A.W.」を展開していれば或いは…… 

   この日、何度もしでを勝利に導いてきたこの2枚のセットを展開しなかったのは「デュオ・マックスウェル」からの「デストロイガンダム」による手札捨て山の全廃棄という大きなリスクがあることを懸念したからだ。
『白使人ならこれくらい揃えて返してくる』そう判断したしでは「リスクの少ないターンパス」を選んだはずだが、白使人の予想外の一手を受け、逆に窮地へと追い込まれてしまった。

 更地になった盤面から、プレイングも何もない運ゲーが始まる。 

 「ドロー、ターン終了。」 
 「ドロー、ターン終了。」 
 「ドロー、ターン終了。」 
 
 「ドロー・・・Gをセットして終了。」
 先にGにたどり着いたのは白使人!

 しでも返すターンで引いて追いつきたかったところだが、引けず。
 こうなると一気に差が開いてくる。

 「ヴァリアブル」「ヴァリアブル」「ガンダムアストレイ・アウトフレーム(バックホーム装備)」

 この環境からはGがヴァリアブルと置き換わっている。国力が1出ると出ないとでは雲泥の差である。

  「ガンダムアストレイ・アウトフレーム(バックホーム装備)」により次々とカードが調達された白使人の手元には、リセットカードなど初めから無かったかのような盤面が築かれていた。
 この絶望的な盤面を前にして、ついに最後までGを引くことができなかったしでは投了を宣言した。

しで 0-2 白使人

 「この二週間白使人に勝つために本当にいろんなデッキを試してきた。」
 「白使人を倒すためには、戦闘をしないこのデッキしかないと思い『青茶第7次』を選択した。」
 試合後にそう語ったしで。

 白使人との練習を重ね、導き出したしでの結論は『戦闘しないプラン』を逆手に取る「ガンダムアストレイ・アウトフレーム」という、想定しなかった白使人の奥の手により敗れ去ることになってしまった。

 しかし、この妙手は白使人も同じように、練習の中で「しでが何を使ってくるのか」「どうすれば勝てるのか」を考えてきたから生まれた一手でもあろう。

 お互いに切磋琢磨し、負けたくないと意識し合うことによって紡ぎ出された予想できない展開の決勝戦。

 これからもこの二人は、互いに高め合い、益々ハイレベルなゲームでイベントを盛り上げてくれるに違いない。

 4代目ガンダムウォー杯チャンピオンは白使人!2度目の戴冠おめでとう!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?