伊豆へと続く道
岩田です。はてなブログの過去記事転載です。
人生において40回以上も経験してきた夏、
私の夏はあと何回残っているのでしょうか...
テンションが上がる「東名高速」
都内から伊豆方面への行き方は色々ある。
パターンは大きく分けて二つ、東名高速を使って沼津方面から半島に向かうか、海岸沿いの135号線を進むかだ。
私は何度も夏の伊豆を訪れているがやっぱり選びたくなるのは135号線、時間帯がまずく酷い渋滞にまみれるのを承知でもあえて135号線を選んだこともある。
そんな伊豆方面に行くにはまず東名高速に乗らなければならない。
しかし首都高から東名に入る....ではあまり面白くない。
テンションを上げる為、わざわざ環八を通って東名東京から伊豆へと続く道へ入るのも楽しみ方の一つだと思ってる。
東名はテンションが上がる高速道路の一つだ。
東京・名古屋・大阪の三大都市圏を結ぶ東名は旅に相応しい高速道路なだけでなく日本の物流の要でもある高速道路、でかいトラックがそれなりのスピードで走行してる。
初心者マークのドライバーからすれば「東名...」になるだろう。
私も若い頃に運転免許を取得した時、東名について親に言われたような気がする。
「お前の腕じゃ東名はまだ無理だ」
「それでも行くなら厚木までにしておけ」
「いいか、東名だけは気をつけろよ」
昭和の時代を現役世代として生き抜いた親にとって、東名とはそれなりのドライバーが走行する高速道路、
荒っぽい運転をするやつもいる、かなりのスピードを出すやつもいる、新幹線にバトルを挑む野郎もいる... そんな昔話を親から聞かされて育った私にとって東名とは特別な高速道路だ。
オッサンになった今でも東名に乗る時は少し緊張する。
コレから始まる冒険、怖さ、楽しさ... 否応が無しにテンションがあがる。
己の心が「東名....」から「東名....か!」に変わる時、それが一人前のドライバーになった時かもしれない。
そんな風に、私は思う。
そんな東名の醍醐味といえば海老名SAだろう。
休憩やトイレといった事情関係なしに海老名SAには入らなければならない、それはこれから始まる伊豆へと続く道に対し「よし、やるぞ...!」の気持ちを高めたい。
伊豆へと続く道は長いのだ。
西湘バイパスから真鶴道路へ
東名から西湘バイパス、そして真鶴道路... この時が「伊豆へと続く道」の見せ場の一つだろう。
海岸線沿いを進むステップワゴンはココナッツの匂いが充満しはじめる。
それは海と夏を感じた男どもがアップを始める時なのだ。
女が挑発的な化粧をするように、男も魅力的な香水を身にまとう... むさ苦しい男でぎゅうぎゅう詰めのステップワゴン、全員考えている事は一つしかない。
ひと夏の恋だろうがワンナイトだろうがどちらでもよい、ヤリたいのだ。
いや、ヤリたいの一言で片づけるには少々乱暴かもしれない、ヤレると本気で思っているからこそ身だしなみ、テンション、男らしさ、ナンパ力の全てを整える。
真鶴道路のトンネルを抜けたらドライバーズハイ
じめっとした真鶴道路のトンネル... それまでの開放的な西湘バイパスとは全然ちがう空気が流れはじめる。
「ここから始まる」
ステップワゴン内の男どもはみんな分かっている。
今年もここから始まるのだ、このトンネルを抜けると崖っぷちの海岸線。そこは都内では味わう事の出来ない大自然。
荒々しい波が岩場に叩きつけられてしぶきとなり、全開の窓からミストの潮が入り込む。
「ここまで来たらそろそろ良いだろう...」
満場一致であの曲をかけようではないか。
「もヲっ、かっぞえーーるくらぃでぇ♪」
もはや全員熱唱不可避としか言いようが無い。
海老名SAで髪型を整え、西湘バイパスでコロンをたたいてきた男たちのテンションと我慢汁が爆発する瞬間だろう。
興奮は一気に上りつめて今すぐにでも叫びたい、海につっこみたい、負ける気がしない、ヤリたい... 堪らなく大切な思い出に残るひとときだ。
だがしかし、ここからが長い。
熱海~伊東で将来を語る
真鶴道路で第一の絶頂を迎えた男たち、なんだかもう伊豆に着いてる感じがする。
そのまま近くの海に突っ込みたいところだが男どものステージはまだ先だ。
ほどなくして見えてくる熱海の街... 哀愁を感じさせるホテルや高そうなホテルが見えてくる。
もちろんビーチも沢山ある。
だけどここじゃない、ここには男どもの求める女はいないのだ。
それは伊東でも同じこと。
彼女と来るなら熱海も伊東もアリなのは分かっている。
だけど今じゃない、来るなら伊豆でハントした女と来る... 口には出さずとも男どもの心は決まっていた。
熱海~伊東間は下半身の話をすこし忘れて将来の話でもしようじゃないか、いつごろ結婚するか、子供はやっぱ男だろ、会社立ち上げて金持ちにになる... なんでもいいさ、将来にむけて少しだけ真面目になってみるのも悪くない。
そういえば親の新婚旅行は熱海だったと聞いた記憶がある。
それから数十年がすぎ、若者が友達同士で気軽に熱海に来れるようになった。しかも通過点としての熱海だ。
これから先、個人の行動範囲はどこまで広がるのだろうか...
伊東~伊豆高原の山道は運転手を労う
ここまで来ればあと少し、男どもの求める女がいる場所まであとちょっと。
山道の隙間からチラリと見える海が堪らなく愛おしい、海にさえつけば何とかなる、あそこは俺たちが輝けるステージなんだ、負ける気がしねぇ。
そんな気持ちは男ども全員が痛いほど分かっている。
我慢できずにいきり立った野郎はすでに上半身裸、海パンに履き替え、お気に入りのサングラスをセットし、安っぽい南国風のネックレスを装着する。
気の毒なのは運転手だろう、車内でフルティンになり着替える男どものはしゃぎっぷりを横目に着替えることが出来ない自分....
そんな時は運転手を労ってこの曲を送りたい。
「we」の部分を運転手のあだ名で呼んであげよう。
それで裸になれなかった運転手の心は救われる。
白浜大浜海水浴場
長い道のりだった。
ついに男どもは己の全てを開放する聖地、全てを賭けてガールハントに挑む決戦の場「白浜大浜海水浴場」に到着したのだ。
あとは駐車場に車をとめるだけだ、準備は出来てる。
もう駐車場の料金なんか高くても構わない、温水シャワーなんかどうでもよい。
我慢の限界に達した野郎が駐車場に止めようと頑張る隣の車に窓越しナンパを始めるも無視される。
当たり前だ、向こうはグループ交際的ワゴン車だろうに。
でもそんな事でめげる男どもではない。
車から荷物をおろし、ビーチに向かう際中にも関わらず手あたりしだいに声をかけまくってゆく男ども。
出来れば同じぐらいの大所帯女子を狙いたいところ、だか夏の伊豆...白浜でそんな事をやるのはガキんちょだ。
ビーチに大所帯女子は限られている、そもそも大所帯男子が大所帯女子に声をかける時点で失敗していると言えるだろう。
そうではなく、一人一人が声をかけまくり、ヒットしたら男どものパラソルにご招待する、飲み物をふるまう。
そこで初めて会った女子たちも仲良くなったりもする、そうやってビーチで目立つ存在になり地元のヤンキーに絡まれたり殴られたりもする。
今の時代は難しい。
ここに書いてあるような内容は今から20年近く前の話だ、大きなプールや伊豆の白浜もそうだとは思うが今の時代は不用意に他人に声をかけてはならない的なアナウンスがあったりもする。
要はナンパを控えなさいという事なのだと私は解釈している。
確かに海水浴場でのナンパは色々と問題があるのは分かっている。今はそーゆー時代との認識で行くべきなのだろう。
ただ...
海でのナンパ、そして出会い...
マンガや動画のように砂浜の隅っこで...というのはまず無い。
近い未来恋人になる可能性を秘めた出会いかもしれないが、基本的にはまだ見ぬ新しい友達を作る要素もかなり強い。
そのような横の繋がり、ひと夏でもいいからの繋がり... 今の若者はネットの世界で和を広げるしかないのだろうか...
そんな風に、私は思う。
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