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「ふたごのウサギと畑のおはなし」

「ふたごのウサギと畑のおはなし」

ふたごのウサギがふたつの畑を持っていて、

大好物の菜っぱや草を、毎年植えて暮らしていました。

今年もそろそろ畑の準備のはじまりです。


下の畑で、ウサギは声を揃えてたずねます。

「今年の畑のおうかがい、何を植えたらいいのかな?」

すると下の畑の土が答えます。

「今年はお腹の調子があんまり良くないんでね。ちょっと難しいかもしれないね。」

ウサギたちはそれを聞くと、驚いて慌てて土にたずねました。

「大変、大変、お腹の調子が悪いなら、腹ぐすりをあげようか?」
すると土が答えます。

「山の奥に湧いている、きれいな湧水飲みたいな。」

「それならちょっと待っていて」
ふたごのウサギは天秤棒にバケツをかつぎ、
エッサ、ホッサと跳んで走って、山の奥の湧水を汲み、
それからまた、おお急ぎで畑に戻り、土に水を飲ませました。

「他に困っていることは?」たずねると、土は
「葉っぱの粉を撒いておくれ」と頼みました。
そこでふたごのウサギは、また山の奥へ跳んで走って、
葉っぱの粉をバケツにいっぱいに持ってきました。
それを撒くと、土は前よりずいぶん気分が良いようでした。
「ゆっくり休んでお腹の調子を治しておくれ。」

ふたごのウサギはそう言って、次は上の畑へ行きました。

上の畑はキラキラ光って元気でした。
そこで、ウサギたちは、また土に向かってたずねました。
「今年の畑のおうかがい、何を植えたらいいのかな?」
すると上の畑は、力強く、たのもしい声で
「うさぎの菜っぱを植えるといいぞ」
と答えてくれました。

そこで、ウサギたちは大よろこびで、
うさぎの菜っぱの種を撒き、苗を作って、
それを畑に植えました。


そのウサギたちの一部始終をみていたものがあります。

それは、空でした。
空は、ウサギたちのために雲を呼び、
「ウサギの畑にやさしい雨を降らせておくれ。」とたのみました。

すると、雲が集まってやわらかな雨を降らせると、
今度はお日様を呼び、
「ウサギの畑にあたたかい光を注いでおくれ」とたのみました。

お日様がポカポカやって来て、畑に光をおくってやると、
うさぎの菜っぱの苗たちは、畑じゅうで、ワイワイ揺れながら、
うさぎの耳にそっくりな、小さなふたばを光らせました。

ふたごのウサギは跳んで、跳んで、よろこびました。


今日もエッサホッサと湧き水を運んでいるそうです。


熊本の小さな集落で、ひょうたんを育てながら、 「お話とらんぷ」をテーマに、ひょうたんの らんぷをつくっています。 イヌ、ネコ、山の暮らしの風景と、 らんぷのことを、 少しずつ書きます。