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ものろうぐ

ここに独白する

恥ずかしながら成人した後も暫く
世の中は善と悪があり
絶対的な善と絶対的な悪が鬩ぎ合っているものだと思っていた
戦争というものは
武力にて領地を占領していく非人道的なものだと思っていた

そしてアメリカナイズされた自由主義が前衛的思考であり
古来日本の考えは古臭くロートルのレガシーだと思っていた

奇しくも20代の頃は新人類などという
これからの時代を担う新しいニュータイプを幻想していた

そこから右へ左へ思想を紆余曲折して
確固たる真理というものを模索していた時期がある
やがて社会に出て、飯を自分の力で食うというものに直面し
真理を追究することを諦め刹那主義に傾倒し
その日暮らしの享楽に耽る日々を過ごした

僕はとても滑稽な喜劇を演じている

僕は子どもの頃アーティストになりたかった
色々な作品を作り、富を得て100階建てのビルを建てて
家族でそこで暮らす夢を見ていた
そのユートピアの絵も描いた

あの画用紙に描いた未来の僕のビルはまだ実現していない
アーティストでもない
もうあの時とは全くの別人に摺り替わってしまったんだ
あの時の僕はいつ死んだのだろう

僕はとても滑稽な喜劇を演じている

孤独感と喪失感に怯え
必死に悟られまいと虚勢と仮面を被り続けていた
しかし、こころのどこかで安息の地
大いなる母性に包まれたいと願う

まだカーテンコールのブザーは鳴ってはいない
観客は誰もいない
滑稽な軽快でありつつもどこか悲しい戯曲が流れている間は
僕はこの喜劇を演じ続けるだろう

なにが残るのか
何も残らないは嘘だ
芯はなくとも芯があると錯覚した思想がのこる
僕のイデオロギーは僕しか理解し得ない

僕はとても滑稽な喜劇を演じている

三島の言葉を聞いたらふとそんな自分を見つめている僕がいた

このまま行つたら「日本」はなくなつてしまふのではないか
といふ感を日増しに深くする。
日本はなくなつて、その代はりに、無機質な、からつぽな、
ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、
或る経済的大国が極東の一角に残るのであらう。

【コロナまっしむら♪】|くらぞー「投げ銭するnote」 #note https://note.com/wolf0407/n/n8553317e14b8

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