晩酌話
人生のポートフォリオをほっぽりだして2年程
頑張りすぎた自分に対する休息と称して
幾ばくかの緩い道を選んだ
人生の余白を作って好きなことをやるという事をした
やりたいことをやるというパッションは急激に燃焼し
ある程度燃え盛った
人は環境に染まってしまうというのだけれども
そのような一介の文豪のような生活を続けると
なんとも言えないような不安に歳悩まされる
いわば檸檬のモヤモヤとした得体のしれないものだ
怠惰を進めれば進めるほど物事は大義になってくる
ではどこでエンジンをかけるか?ということだ
幸いにも緩やかな時間を送ったおかげで
自己内省や死生観がブラッシュアップできた
はずだ…
恐らくバリバリ働き続けていたならば
20数年後の定年退職後にはセミの抜け殻以上に
抜けてしまっていたのかもしれない
適材適所という言葉があるが
適所にいた場合は仕事でも幸福度が増幅される
満ち足りた感覚になる
しかし子供の成長を見過ごすくらいのスピード感がある
気がつけば一緒にいても面倒くさそうな顔をしているなどと
子供に顔色を読まれるようになってしまう
常にバランス感覚が要求される
もともとバランスは苦手だったのかもしれない
一極集中というADHD丸出しの性格ゆえ
熱しやすく冷めやすいを繰り返してきたのが
僕の人生だ
誰が悪いとかではなく
そうやって生きてきたというだけのこと
何がしたいかという漠然とした問に解が出せないでいるうちに
中年になってしまい
それとなくやりたいことっぽいものと
やりがいっぽいものを
なんとなく人生の指標にしてみたりして
よくあるしがない男の人生ということ
前澤は月へ行き
僕はイオンへ行く
その行為になんら違いはない
ないものねだりは人の心を卑しくしてしまうらしい
幸せコストは低いほうが良い
もし、ないものねだりが激しいチベットの山奥に住む男がいるとしたなら
僕の生活は夢に見るような羨ましさだろう
かつて話した虹の元で暮らす人々のように
気が付かないことって多いよね
了
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