毎日の食卓に並ぶまで
2020年8月
私たちは家を契約した。
毎日一緒に住むためのお家「私たちの家」だ。
私たちが出会ってから今に至るまで
たくさんの”乾杯”をしてきた。
それぞれの思いをここに綴ってみようと思う。
新宿で
2019年9月
私たちは初めて出会った。
最近LINEの機能に備わったオープンチャットで出会い
なんとなくみんなで飲んでみようよという流れになり
新宿で待ち合わせをした。
今でもその時のことをはっきり覚えている。
新宿の東口、ライオンの銅像の前で
時間通りに一番最初についたのは私だった。
それから30分もしないうちに8人集まり
なんの予約もせずままとりあえずは入れるお店を探して
適当に入った串揚げ屋。
彼と出会い、初めての乾杯を交わしたのもその瞬間だった。
ただ20代の社会人が集まっただけの会。
年齢、性別、職種、出身地、住んでいる場所
何一つ一緒のものはなかったが
それがまた楽しかった。
きっとこの先出あうことがでないであろう人たちとの
交流がとても新鮮だった。
2軒目に行くころには11人にまで増え
私を含めて喫煙者はたったの3人。
「喫煙者は喫煙者で固まって座ろうか」
その時私の前に座っていたのが今の彼である。
彼が喫煙者じゃなかったら
私が喫煙者じゃなかったら
きっと、もしかしたら
その日ですら一言も交わすことなく終わっていたかもしれない。
ただの年下の男性だ。それだけだと思っていたが
今でもあの時のことや、
あのときの彼の表情を思い出せる当たりを考えると
もしかすると私は初日から彼のことが気になっていたのかもしれない
そうするとすごく恥ずかしい気持ちになるな
身内の集まり
9月に初めてのオフ会を開いたあと
10月になっても、また飲もうという話が出た。
先ほども言った通り、その場に集まった人間は住んでいる場所も
バラバラでそう簡単に集まれるものじゃなかった。
神奈川、東京、埼玉、千葉
集まるとしたら東京になるだろうが
一言で東京といったところでアクセスの良し悪しもあるし
どうしようかと悩んでいるところで
私が住んでいる地域にチャットメンバーが3、4人はいることが分かり
それが後々のいわゆる「身内」になっていくのだ。
その身内の中に彼もいて、いつも3,4人で飲んでいた。
チープな居酒屋で朝まで飲む日が多数。
彼はいつも仕事が終わってから
来ていたので参加するのは最後当たりだったが
正直私の中で早く来ないだろうかという気持ちがあったことは
後にも先にも内緒にしておこうと思う。
誘い
ある寒い日の23時
彼から連絡があった「これから飲める人いない?」
それが個人的にきたものだったか
チャットルーム内で言われたものだったかは忘れてしまったが
歩いて20分で繁華街まで出ることができた私は
すぐに「準備したら行ける!」と返事をした。
多分この日が初めて2人で飲んだ日なんじゃないかと思う。
正直2人で飲んでみたいなとひそかに思っていた私にとっては
ものすごいラッキーな誘い。
それと同時にだれも来ないでほしいとまで願ったほどだ。
いつも通りの朝までやっているチープなお店で飲む
チープなお酒。正直味がおいしいわけでもない。
それでも一緒に飲みたかったし、一緒の空間にいたかった。
そして何よりも家を出たい理由もあったのだが、それはまたの機会に...
年末年始
身内で飲んでるときにふと年末年始の話になった。
なんとはなしに「車持ってるならドライブ連れて行ってよ!」
と彼に言った私。
本音を言えばかなり勇気を出して言ったつもりだったが
それを隠そうと酔っ払った勢いに任せてしまった。
1月2日
ドライブデートしようか。となった当日。
普段自分の近くの繁華街でしか飲んでない私は
ほぼすっぴんにTシャツを着ただけの格好だったが
その日だけはきちんと化粧をして香水をつけ、
持っている服の中でまだ「まとも」といえる服を身に着けた。
車でのデート。もちろんこの日はお酒を飲まなかった
「結構静かなんだね」と言われた一言に
「お酒飲んでないときはいつもこんなもんだよ」と返したが
内心ものすごく緊張していたし
お酒の力を借りたいのは、やまやまだ!と考えていた。
遅い時間まで続いたドライブの中で見た
レインボーブリッジの輝きはずっと忘れられない。
そしてその時に飲んだオレンジ系のノンアルカクテルの味も
忘れられないものになってしまった。
夕食
年が明けてから時がたち
私たちは2人でデートをする回数が増えた。
お互いにお酒が飲める口だったので
どこかに行くたびに毎回飲んでいる。
それでも、8月に引っ越して以来
そう、同棲をし始めてからの
毎日の晩酌に勝てるものはないだろうと感じている。
毎日お互いに別々のお酒を飲んでいても
「これもおいしいね」と言えるこの瞬間が幸せだと感じる。
また明日、どんな料理を作ろうか。
それに合うお酒ってなんだろうね。
そんなことを日々考えながら幸せをかみしめている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?