隣り合う釈迦ヶ岳と黒岳は全く性格の違う山でした
河口湖の近くにそびえる釈迦ヶ岳と黒岳は両方とも山梨百名山に数えられ、山頂からは富士山が綺麗に見えるビュースポットとしても知られています。
今回は甲府市がYAMAPで行っている手ぬぐいゲットイベントにのっかって、河口湖近くの「すずらんの里入口」バス停から釈迦ヶ岳と黒岳を稜線伝いに歩き、久保田一竹美術館に下る日帰りルートをご紹介します。
時期
9月
アクセス
東京から中央線で大月まで1時間40分
大月駅から富士急行で河口湖駅まで約1時間
行き
河口湖駅から富士急周遊バス(レッドライン)ですずらんの里入口へ約40分
※ガイドにはパープルラインになっているけど何故か乗ったバスはレッドラインでした。
※一番早いのが9時半発なので出発が10時を越えるので時間に注意
帰り
久保田一竹美術館バス停から富士急周遊バス(レッドライン)で河口湖駅へ約25分
※外国人が多く支払で時間がかかり遅れるので注意
紹介ルート
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1fBYip4uFkvSeXN99XcrCWOlTcYn5iHU&usp=sharing
総距離:11.7km 登り:1,161m 下り:1,285m
すずらんの里入口バス停~釈迦ヶ岳登山口~釈迦ヶ岳~日向坂峠~黒岳~久保田一竹美術館
すずらんの里入口バス停~釈迦ヶ岳登山口
このコースの一番のネックは出発時間が遅くなることです。公共交通機関を使うとどうしても10時過ぎのスタートになってしまいます。コースタイム通りに歩いていると下山時は暗くなってしまう可能性がありますので、同じコースを行かれる方はコースタイム以上のペースで歩く体力をもって臨んでください。
さて、バスで行くと周囲に建物も何もないT字路で降ろされます。バスルートから離れて脇道の方に入っていきます。
この先には芦川町のバス停があってすずらんの里まで乗っていけますので、それに乗ってすずらんの里から登るルートもありますが、今回登る釈迦ヶ岳登山口では途中下車ができなそうだったので歩いて進んでいきます。ちなみに富士急バスとの繋ぎも良い様で、歩いていたらすぐにバスが来て追い抜いて行きました。
登山口までは茸の販売所を1箇所右に曲がるだけであとは道なりです。道は広い舗装路で微妙な上り坂が続きます。もう暦の上では秋ですが路上歩きは日差しが暑く、樹林帯の中では日差しが避けられてありがたいです。
釈迦ヶ岳登山口は舗装路の左側にこれでもか!という大きめの看板があるのでまず見落とすことは無いでしょう。いよいよ登山開始です。
釈迦ヶ岳登山口~釈迦ヶ岳
登山口から入ってもまだ舗装林道が続きます。舗装と言ってもアスファルトではなく、古いコンクリの遊歩道です。一応、YAMAPの地図ではこの先に駐車場がある表示がありますので車で入ってくる人も居るのでしょうが、幅の広い車やトルクの低い車は止めた方が良い道です。また、駐車場マークがついている場所はちゃんと整備された駐車場ではなく路肩にちょっと広いスペースがあるだけです。いいところ小さめの車2~3台だと思うので、駐車場があるとは思わない方が良いでしょう。
舗装林道が終わると山道に入ります。周囲に岩がゴロゴロしていますが、登山道は土の道です。序盤から九十九折で急斜面を登っていきます。9月も中盤という所ですが、道には未だ夏の虫が多く飛んでいました。途中で蛇(たぶんヤマカガシ)が逃げて行ったり、蜘蛛の横糸が張って会ったりと、まだまだ虫や動物が活発な様です。
暫く登って稜線にのったら右へ。ここからは岩場が多くなります。残地されたフィックスロープも所々に在り、ちょっとした岩稜登りが楽しめます。
また稜線に登るまでと比べると虫がほとんどいないのでかなり快適です。稜線までは山道に入ってから1時間もかかりませんので頑張って登りきった方が良いでしょう。
岩稜帯では振り返ると良い景色が楽しめます。ただし景色が良いせいか展望休憩するための枝道が何箇所かあるので道を間違えない様に注意しましょう。
稜線にのって1時間もかからず釈迦ヶ岳山頂に到着します。天気が良く、富士山ビューに期待していましたが悲しいことに夏雲が沢山湧いてしまったので富士山は雲の中に隠れてしまいました。
山頂には多少のスペースがありますが、平坦な場所はあまりなさそうです。あまりのんびりできそうもなかったので次の黒岳で綺麗な富士山が観れることを期待して先に進みます。
釈迦ヶ岳~日向坂峠
釈迦ヶ岳からの下りは登ってきたルートと比べると岩は少ないものの結構な角度で所々残置ロープもあります。滑らない様に気を付けながら下っていきます。
ある程度下りきると若干なだらかな稜線になり、しばらくは楽しい稜線歩きができます。途中に府駒山の山頂がありますが、この山頂も含めて稜線は樹林の中で景色はイマイチです。
府駒山の先で右方向に下る道があります。ここを下って行けばすずらんの里に出ることができます。すずらんの里までバスを乗り継いてきて、ここから釈迦ヶ岳に登っても良いですが、西斜面の方が岩稜登りで景色も良いのでお勧めです。
すずらんの里への分岐から先は基本フラットで、峠に向かってやや下っていくので楽に歩くことができます。
目の前に舗装路が見えたらそこが日向坂峠です。どこかにあるのかもしれませんが峠の標識看板は見つけられませんでした。ちなみに日向坂峠の別名は「どんべい峠」です。
日向坂峠~黒岳
日向坂峠の先もしばらくはなだらかです。こちらも暫く歩いて行くと右下、やや戻る方向への道があります。この道もすずらんの里に続いていますので、すずらんの里から黒岳に登る場合はこちらの道から登ってきます。この分岐から本格的に黒岳への登り返しがスタートです。
釈迦ヶ岳が岩稜急登のとんがり山だったので、こっちも登りが激しいのかな?と心配していましたが、黒岳への登りはとてもマイルドでした。木の根の段差もほとんどなく、自分のペースでゆっくり登っていけます。
黒岳の稜線への合流点に近づくと木の根の段差が短い区間に在りますが、クリアすればその先はフラットになり御坂山から続く稜線に合流します。合流点から黒岳山頂は目と鼻の先なので、そのまま登ってしまいましょう。
黒岳山頂は木々に囲まれて周囲の展望なしでした。「あれ?富士山ビューが素晴らしい山のはずじゃ?」とよく見ると、どうも南に200m程いったところに展望台がある様です。三角点をぺちぺちしたら、富士山の雲が晴れていることを願って展望台へと進みます。
黒岳~久保田一竹美術館
黒岳から南陵を進むと開けた場所に出ました。展望台の看板は無いのであっているか分かりませんが、おそらくこの開けた場所が展望台と思われます。
目の前の富士山は相変わらず裾野がチラ見えするだけでほぼ雲の中でがっかりでしたが、眼下の河口湖は綺麗に見えて良い感じです。雲はちょっと待ったくらいでは晴れそうもないので、そのまま南陵を下っていきます。
実はこの展望台からちょっと下ったところにも小さなビューポイントが2か所並んであります。上の展望台よりもこちらの方が河口湖が良く見えてお勧めです。
暫くは急な下りが続きます。土道で滑りやすそうなので気を遣います。
途中にあるはずの中沢山は、どこだったのかわかりませんでした。だいぶ歩いたところで右手が開けた展望地があるので1回休憩を挟みます。
展望地の少し先で登山道が分岐しているので間違えない様に右へ。
標高1,300m程まで降りると下り坂が緩やかになります。結構単調な長い下りでが続きます。再び滑りそうな急な下りになったら、すぐに下の方に人工物が見えました。そこが登山口の様です。
登山口近くは少々分かりづらく、舗装路が見える方向が虎ロープで厳重に塞がれています。どうやら目に見える道は私有地の様です。虎ロープに沿って真っすぐ進むと堰堤があって沢が流れています。一見すると行き止まりの様に見えるので、おそらくここで登山道を見失った人が行き止まりと勘違いして私道に下りてしまうのでしょう。正しいルートはこの沢を渡って対岸を登り舗装路に出る様です。私は慣れているせいか何となくわかりましたが、変な場所で渡渉してしまい公道に出れず迷っている人も居ました。
舗装路からはそのまま道なりに下っていくと久保田一竹美術館の脇にでます。久保田一竹は染色工芸家の様ですが、美術館の庭園をガイドさんに連れられて歩く外国人観光客がたくさん歩いていました。
庭園脇には日に2便しか運行がないバス停があります。ここで待っていてもバスは来ませんので、そのまま進んで広い通りまで出ましょう。
通りに出れば左手に富士急バス(レッドライン)の「久保田一竹美術館」バス停があります。こちらのバス停は20分間隔でバスがありますので、ここでバスを待ち、河口湖駅まで帰ります。
お疲れ山でした。
下山温泉
河口湖周辺は今、外国人観光客が沢山押し押せているようで、帰りのバスはなかなかの混雑でした。幸い久保田一竹美術館くらいでは空いているので座れましたが、ロープウェイ乗り場がある辺りから大量に乗り込んでくるのでご注意ください。
河口湖駅到着後も多国籍な上に支払い方法も色々で、携帯利用支払いの確認やら、乗車時の非接触タッチ忘れで乗車情報が無いなど、色々手間取っているのでバスから降りるのも渋滞して一苦労でした。これからの日本では語学堪能じゃないとバスの運転手にはなれなかも?
河口湖駅に戻ったら富士山グッズを買って帰ろうと思っていましたが、人が多くて落ち着かないので「とりあえず河岸を買えよう!」と電車に乗り込みます。
途中の葭池温泉前(よしいけおんせんまえ)駅で下車。本日はここで温泉に入っていきます。駅周辺は住宅街でとても温泉地の様には見えませんでしたが、少し歩くと行き止まりに葭池温泉がありました。レトロな造りで腰の曲がったおばあちゃんが一人で店番をしていました。2時間750円の様です。
中に入ると結構小さい湯船で洗い場は二つだけ。脱衣場と風呂場が一緒になってる古い温泉タイプで天井が高く、なんとも雰囲気が良いです。人によっては気にするかもしれないので書いておくと石鹸とシャンプー(リンスインではない)が置いてあるだけなので気にする方は自前のアメニティグッズを持っていきましょう。単純泉で湯温はぬるめ。長居したくなるところではありましたが、丁度混雑時間帯なのか人が後から数名入ってきただけでいっぱいになってしまうので、さっぱりしたら早々に風呂から上がりました。
食事も出来そうでしたが「おばあちゃん独りだと今はやってないのかな?」と思ったのでここでは食事せず、次の電車の時間に合わせて帰りました。