展覧会『フィン・ユールとデンマークの椅子』を見に行った話
たまたま見つけた展覧会が思いのほかよかったので記事にしました。
文章にアウトプットするっていいよね。
事前準備と発端
9月某日、平日に休みができたとある日のこと。
いっちょ美術館にでも行って普段取れてない頭の栄養を摂取しにいこうかなとネットをうろつきまわっていると……。
あった!
ありましたよ展覧会『フィン・ユールとデンマークの椅子』が!
特に芸術・デザイン方面に詳しいわけではありませんが、フィン・ユールの名前は知ってました。
なぜならオフィスなチェアを探していたとき、ハーマンミラーその他の高級椅子が欲しくて欲しくて欲しくて情報を漁りまくっていた時期があったからです。(もちろん買ってない)
そのつながりで、”アルネ・ヤコブセン”と”ハンス・ウェグナー”といった名前は知ってました。Yチェアくらいなら知ってる。
バルセロナチェアは北欧と関係ないこともわかる。
ザ・コンランショップや高級家具屋には椅子がいっぱいあって楽しかった。
アルネ・ヤコブセンの腕時計は買った、最高。
上記が持てる知識のすべてです。
そしてこの程度の知識でもかなり楽しめるのではないかと判断しました。
その一番の理由が、
珍しい(そしてお高い)椅子に座れるから!
あの某高級家具屋でも座ることがためらわれた椅子たち(店員を呼ぶとかムリ)、どこにも売っているかも不明な椅子たちに座れる機会が来たと!?
しかも予約不要、行くしかない!!
という結論にさくっと至ったので、その日のうちにGO。
東京都美術館に到着
この展覧会の会期は、2022年7月23日(土)~10月9日(日)
7月からやっている展覧会なので、さすがに混んではいないでしょうと思いつつ入館。
すると数人並んでるチケット列を発見、入場を規制するほどではないが中にはそこそこ人がいるご様子。平日の昼間ぞ。これ、もしかして休日はもっと人がつめかけて来てるんかいな。
チケットを買っていて横を見ると、チケット売り場の横に置かれているのは……図録!!
どうやらグッズは、グッズエリアで売ってるみたいだけれど図録だけはチケットカウンターで取り扱っているらしい。
しかもこの図録、内容が同じだけど表紙が色違いで3種類。
図録、色違い、3種類。
一冊2,900円(税込)
……帰りに考えよう。
読書を趣味筆頭にしているので敗北の未来しか見えませんがここは目をつむって入場します。
展示を舐め回すように眺める
最終目標は北欧の椅子に座りまくって堪能すること。
そのためには、事前知識をつけて悦に浸れるよう準備をせねばなりません。
みなさんだって心のなかで、「これがかの有名な〜〜〜〜〜が作った椅子か、モノが違うな」とわけもなく知ったかぶりをしてみたい場面は多いでしょう。たいへんよくわかります。
大切なことですが、椅子の座り心地デザイン体験コーナーは一番最後です。
そこまでの展示をなんとなく眺めてパネルの説明文に感心しておけば、この先一週間は北欧椅子マニアとして知ったかぶりができるでしょう。
椅子の違いが分かる人
とはいえ、さすがに興味がなければ最後まで頭の回転がもちません。
展示会では、そこにバラエティに富んだ何かが潜んでいるものです。
今回わたしは、以下の点に着目しました。
ローチェアかハイチェアか
素材は何か
編み込みか革か
家庭的か、工業的か
自分の好みか否か(最重要 などなど
そうしてみたら、なんともこれほど種類があるものかと感心するばかり。
そしてこれが北欧の椅子っていうスコープだってんですから、ホントに世界は広いです。
さて、もちろん最重要は座り心地です。
最後の体験の下準備をしていることを忘れてはいけません。
とはいっても奇抜さを競う大会ではないので、一瞥して
”この椅子は快適性が低いのでは?”
という軽はずみな考えを持つのはNGです。
なんせまだ座っていないので。
作ったのはプロ、私は素人。
曲線一つに意味をもたせてくる相手をして軽挙妄動は迂闊と言わざるを得ません。
意味を感じ取れなくてもそこにはなにかがあるのでしょう、たぶん。
まぁ一人でいったので迂闊な会話などどこにもありませんでしたが。
展示を見よ、パネルを読もう
展示は2フロアでありました。展覧会の章立ては、
第1章 デンマークの椅子
第2章 フィン・ユールの世界
第3章 座り心地体験コーナー
です。
もともと北欧デザインは好きなので、実は1章を見ているときがいちばん気合が入っていたかも。まさかデンマークの家具職人組合と生活協同組合連合会(FDB)の知識を入れる日が来るとは思いもよらんかった。
デンマークのデザイナーが一同に集まった写真にテンション爆上がりでした。
第1章ですでにいろんなデザイナー作の椅子がいっぱい並んでいるのでおもしろい。
そして、ここは写真がOK!!とりまくりましたよ、ええ。
(注意:写真の撮影OK/NGは場所によるので確認をちゃんとしましょう)
お次はフィン・ユールにズームイン。
建築からインテリアデザインまでなんでもござれの活躍は読みごたえがあった。
もちろん椅子や机、キャビネットまで展示されてはいるが、パネルの説明を読んで写真や設計図、デザイン画を見てるほうが面白かった。
特にあの家の中を写した写真の数々!
あんな家に住みたい……。
ちなみに有名な『チーフテンチェアでくつろぐフィン・ユール』の写真もあった。
あの肘掛けに足を乗せて、横を向いて椅子に座ってるやつ。
座って初めて分かること
そして待望の座り放題のコーナー!
総滞在時間のだいたいはここに使ったやもしれぬ。
結論は、、、さいこうでした。
編み込みの椅子に座る感触、革の手触り、硬いがゆえにしっかり支えられる安心感、ふかふかさ、肘掛けのなめらかな曲線、ヘッドレストのホールド感などなど。
座ったら立つのが難しいやつらばかりでした。
強敵だったぜ。
これはもうあれですね、体験するしかない。いやほんと。
いろいろ座ってまた座ってみて、瞑想してさらに座ってみる。
こうして椅子に堪能するという人生でもなかなか無い一日を楽しめました。
来た、見た、かった
さて、あとは帰るだけ……図録よ、お前がいたか!
だがこちらとて大人、そう軽々に欲望に振り回されることはない!
さらばだ!
どっとはらい。
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