2019年以降人手不足が深刻に
日本の生産年齢人口は(15~64歳人口)は1995年をピークに減少に転じている。1995年から2017年までに113万人減少した。
通常の場合、生産年齢人口の減少は労働力人口の減少を招くがその労働力人口は54万人増加している。これは、女性や高齢者を中心とする労働参加が進んだためである。
25~54歳女性の労働参加率は1995年に65.2%だったのが、2017年には77.4%と12ポイント上昇している。その結果、結婚や出産、育児期に女性の労働参加が落ち込む、いわゆる「M字カーブ」にも改善がみられる。日本のM字カーブは米国に引けを取らない水準にまで来ている。しかし、これは同時に労働供給の伸びしろが限られていることを意味している。
高齢者に関してはデータのある2012年から2017年の変化を見てみると、労働参加率の上昇幅は、60~64歳で+7.6%、65~69歳で+7.1%、70~74歳で+4.2%、75~79歳で+2.1%、80~84歳で+0.2%となっている。年齢が上がるにつれてその上昇幅は小さくなっており、高齢者雇用が促進される中でも高い年齢層に与える影響は限定的であることが示唆される。そのため今後の高齢者の労働供給による効果はある程度割り引いてみる必要がある。
以上のように労働供給の伸びしろが限られている中で生産年齢人口は今後も減少し続ける。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(出生・死亡中位)によると、生産年齢人口は2035年までに約1100万人減少する見込みである。このことから日本の人手不足は引き続き深刻化いていくことが予想される。
出典「この1冊でわかる世界経済の新常識2019」日経BP社