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強打がどうしていけないの?

怖い・うるさいという感覚的な理由もある。
牌や卓が傷つくという物理的な理由もある。

この辺は当たり前過ぎるので、特に触れないとして。

麻雀のゲーム性からも避けた方が良いよ、というお話。


麻雀のゲーム性とは?

不完全情報ゲームということだよね。

例えば将棋は、盤面に全ての駒が見えてる。
ここから、「相手がこう打ってきたらこう」と未来を読むのが将棋のゲーム性だと思う。たぶん(将棋知らない)。

他方、麻雀は、相手の手牌や山に積まれている牌が見えない。
見えないことを前提に、「相手の手牌がどうなっているか?」「山に何が残っていそうか?」という今の情報を読むのが麻雀のゲーム性だと思う。

だからなんじゃい!!

わかりにくいので具体例を。

あなたの手牌はこれ。

白發ポンして役満チャンス!
だけど、残りの手牌は、ばっらばらで、どの色に染めれば良いかすらわからない(笑)
中は既に1枚切られている。
他家が中を掴んでオリてくれればそれはそれでオッケーみたいな感じ。

しかし、相手から見たら、こう。

怖い~。大三元が無かったとしても、混一色や対々和やドラが複合すれば楽勝で跳満クラスになる。

ここで、他家は、
「アイツは中を持っているんだろうか?」
「自分の手は中を打つのに見合うだろうか?」
というようなことを考えるんだよね。

そこで、他家のAさんが、
A「あ、中持ってきたよ」
と言っちゃうとしましょう。

呼応するように
B「あ、俺も1枚持ってるよ」
C「あ、俺も今ツモってきたところだ」

となると、河の1枚に加え、残り3枚の所在が分かり、完全な安全牌だということが分かってしまうの。

台無しじゃん。

情報を出すと、ゲームのおもしろさをなくしちゃうの。

強打との関連は?

それは分かるけど、強打と関係あるの?
あるの。

よくいるのが、危険だと思う牌だけ強打する人。
あまり良くないの。

例えば、Aさんがリーチに通ってない無スジの8mを切ったとします。
しかも、超絶強打。Aさんはいつも危険牌を切るときは強打しちゃうの。

これは多くの場合「危険な牌を押してますよ」のアピールになっちゃうんだよね。

何が問題?

もちろん、強く切ろうが弱く切ろうが、「8mを切った」という情報は全員に共有されるべきものだし、そこから「押してる」という情報を読み取れる人がほとんどだから、そこは大した問題じゃないの。

逆に、普段は強打のAさんが無スジの8mを安牌かのように切ったとしましょう。
これってとんでもない情報になっちゃうんだよね。

Aさんは、
「私には8mが安牌であるという情報があるんです」
と言っているに等しいから(笑)

無スジの8mが安牌になるということは、7mや8mがAさんから全見えとかなんだろうなぁ、と分かっちゃう。

台無しじゃん。

白發ポンに対して、「中持ってきた」と言っているのと大差ないの。

わかりやすく極端な例にしているけれど、強打などの不必要な所作は、不完全情報ゲームである麻雀のゲーム性を損ないかねないって話でした。

強打は全部ダメなの?

強打全否定みたいなのも、極端過ぎてあまり好きじゃない。
許される強打もあると思う。

例えば、今年のMリーグ10月17日の2戦目。
ハギーが痛恨のカン忘れをしちゃった局。
ハギーの放銃直前の伊達さんの打7mは、力が入っていたことは間違いないと思う。

これね。

2軒リーチに挟まれて、ハギーの宣言牌4mのモロヒ、もってぃには6m先切りの無スジ(6m→2m切りリーチで、1mも切られているから、147m否定だし47mも比較的薄そうには見えるけど)の危険牌。

「許せ!」
という声が聞こえてきそうな感じの切り方で、
「タンッ!」
という音も出てたと思う。

昨日10月22日の松ヶ瀬さんのツモの強打を、「1000松ヶ瀬」とすると、このときの伊達さんの強打は「10松ヶ瀬」くらいだと思う。
それでも普段の伊達さんは強くなってもせいぜい「3松ヶ瀬」くらいの丁寧な打牌だから、伊達さん基準では強打寄りの打牌だったと思う。

それでも、そこで力が入っちゃうのは分かるし、エンタメとして重要なところでもあるかなとも思う。

もう一例。

昨シーズンMリーグファイナル最終戦の堀さん。

総合3位争いのライバル風林火山の勝又さんから、ラス目の親リーを受けるという絶望状況に置かれた堀さん。
一発で持って来たのは無スジの7p。オワタ。

こっちは、愚形2600ですよ。
暗刻の發は完全安牌。
副露が見えてないけど、9mもほぼ通る。
ツモられても、まだ逆転されるとは限らない。
押せる訳ないよ。オリましょう。

「タンッ!」

切ったよ!!!!

この時の堀さんの打牌も「10松ヶ瀬」くらいは行っていたと思う。
普段は特に打牌の丁寧さが目立つ堀さん。どんな危険牌も「1松ヶ瀬」くらいで優しく切っていく堀さん。

興奮したよね。

「そりゃそうだよなぁ。それ切るのは力が入るよ。」
って理解できるし、なんなら
「その危険牌くらいは力入れて切ってください(笑)」
という気持ちにすらなる。

何が違うの?と言われると難しいけれど、結局は普段の行いと、置かれた状況次第なんだろうなぁと思う。

普段から丁寧な所作が多い伊達さんと堀さん。
そんな2人ですら無意識に力が入ってしまう状況。

そういう背景があれば、「10松ヶ瀬」くらいの強打は、麻雀を見て楽しむ要素として許容ないしは必要とされることもあるよね、と思う。

「これで優勝が決まります」みたいなツモがあるとすれば、「100松ヶ瀬」くらいでも許されて良いじゃん(笑)

毎局のようにベチコンベチコンしてる人が、毎半荘のように誰かに生まれる跳満ツモ程度で「1000松ヶ瀬」するのとは話が違うと思う。
まぁ、どこまで行っても最後はそれぞれの感覚の違いになっちゃいそうだね(笑)

まぁ、同じような感覚の人に伝わればそれだけで嬉しいです。

おしまい。

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