BEAST決勝オーラス2本場「内田の戦い」
2pが暗刻って選択。
難しい。タンヤオを見て1s、受け入れに貢献していない赤5p、孤立の5m、どれもありそう。
菅原の選択は打1s。
2sの裏目がかなり怖い。内田がしっかり絞っていることからすると、喰いタンにしたところでそう簡単には鳴けそうにないからね。
しかし、ここは5mの横伸びにかけた選択。
想定外の縦引きだけどツモが応える!
新井視点。4s引けば三色で仕掛けが効くようになるし、打点は不要。
4s出来メンツチーとかはしたのかなぁ?
まぁツモ切り。
菅原が重ねていた5mをポンして一向聴!
あの5m残しが生きた!そこそこ切ってる人が多そうな5mだっただけにお見事。
新井に平和聴牌!
菅原にもポンテン!
双方ツモれず、2人聴牌で流局。
内田視点を見ていきたい。
内田に条件はない。
こういう時にどのように打つべきか?
新井にも菅原にも有利にならないような選択をとりたい。
大昔一時的に流行ったらしい「オールツモ切り」という選択もある。確かに自分の意思を介在させない選択は、なんとなく両者に対してフェアに見え、内田にとっても楽な選択だ。なんせ何も考える必要がない。
しかし、フェアに見えるかもしれないが、菅原は新井と違って内田からチーできる立場であり、実際はオールツモ切りはフェアでも何でもなく、菅原にとって大幅に有利な選択になる。
当然、内田もそれを分かっている。
内田が選んだのは、
「1打1打、双方に有利にならないベストの打牌を選択し続ける」
という辛く苦しいルート。
最善を尽くしたとしても、結果的にどちらかに有利になる打牌を選んでしまうことなんかいくらでもある。
それでも最善を尽くす。
内田の戦いもかっこよかった。見ていこう。
ノーヒントの第1打。
南白の役牌は、両者に対する決定打になりうるため切れない。
選択は7s。
37牌は手牌のネックになりやすい牌で、しかも自分が2枚持っている。
ネックということは、下家の菅原が欲しい可能性が高いが、巡目が進むほどに菅原が鳴ける形になる可能性が高まる。
だったら、まだ形が整っていないであろう初打に打7s。
実際、菅原の手がもう少し喰いタンが見える形になっていれば嵌張チーが入っていただろう。
「欲しいだろうけど、今はまだ鳴けない!」という可能性にかけた打7s。
同じく「まだ鳴けないでしょ?」と37牌を並べていく。
仮に鳴かれたとしても、喰いタンであることが確定すればその後の対応がしやすくなる。
上家の新井に合わせる4m。
ここは難しい。
自身が新井のヤミテンに放銃して決着することほど怖いことはない。新井に聴牌気配が入ったときのためには絶対に残しておきたい4m。
そして、1mなら今菅原の喰いタンを進める可能性はない。
それでも1mではなく、あえて4m先切り。
同じように今なら鳴けない!ってことかな?
是非も内田の思考ももちろんわからないんだけど、1mではなく4mにしたってのはカッコイイよね。
ここで1p。
もう5巡目も終わり。そろそろ「今なら鳴けないでしょ!」の巡目が終わったという判断かな?
これも相当恐ろしい。1p切っちゃった後に親の菅原からリーチが来たらヤバイ。
それでも「ここで他の牌をチーされることの方が試合を壊してしまうかもしれない」という判断か?
毎巡、祈るように捨て牌を河に並べていったんだろうなぁ。
普通祈るのはツモのとき。
第1打から毎巡祈るような気持ちで切っていったと思うけど、それでいて淀みなく切っていたというのは凄かった。
菅原にポンが入って、2巡前に浅井が通している5mノーチャンスの7m。
共通安牌は1mと西。
片方を放出。この辺で少し寒くなってくる。足りなくなったらどうしよう?
※1mは、菅原をタンヤオ想定と見るなら安牌なんだけど、実は南暗刻とかが消えてないから安牌とまでは言えない。南暗刻だとすると、1p対子落としがちょっと違和感。安全な頭候補を落としていることになるので、南暗刻は否定できないけれど可能性は高くないという感じか?
4pは2巡前に新井が手出しした牌なので、問題ない。
が共通現物の1m。
ここは、菅原のチーを警戒したのかな?
ここで、前巡とは異なり打4p。
もちろん菅原の手はかわっていないので、チーされても良いという判断に変わったってことか?
状況に変化は無いけれど、菅原に一向聴の可能性があり、次巡一手進んで切れなくなるリスクと、今チーテン入れさせてしまうリスクを比較した選択なのかな?
鳴かせることなく終局。お見事。
条件が無い中で、1人だけ他の人とは違う戦いをやりきった内田にも感動しました。
この局だけじゃないからね。オーラス全局を戦いきった内田もお見事でした!