Fender Custom Shop “1961 Jazz Bass Heavy Relic -Aged Olympic White -”について
みなさま、こんにちは。今回紹介する1本は2024年のカスタムショップのカタログモデルとなる1961年のジャズベースを基にしながらも、カタログ外のマニアックなスペックを有する「スペック・ピース」のベースになります。
1960年代前半の復刻モデルとなることでアルダーボディにメイプルネック、ローズウッド指板の木材構成が一般的に知られている木材構成になりますが、ボディにアッシュ材を使用しています。史実に基づくのであればアッシュ材をボディに使用するのはブロンドカラーのみのはずですが、オリンピック・ホワイトのカラーリングでありながらもアッシュ材を使用しています。このアッシュ材の木目はボディ・バックのバックルウェアからが分かり易いですね。
ネックは柾目のメイプル材をネックに使用しています。指板材も定番のローズウッドを使用しており、1962年以前の特徴とも言える接着面を水平にしたスラブ貼りになっています。
フレットには若干現代的なスペックとなるミディアム・ヴィンテージとなり、ヴィンテージよりもわずかに幅と高さのあるフレットになっています。さらに特徴的なのは指板表面のラジアスをヴィンテージスペックである7.25インチよりもフラット寄りになる9.5インチの指板ラジアスを採用している点です。指板のスペックを若干現代的に寄せることで昨今の5弦ベースに慣れているプレイヤーにも受け入れられやすくなり、ハイポジションでのソロやコードプレイなどのテクニカルなプレイを好むプレイヤーにとって高いアドバンテージとなります。
ピックアップはハンド・ワウンドのVintage J-Bassが2基マウントされています。コントロールはスタック・ノブと呼ばれる上下2段に分かれたコントロールノブが2つ取り付けられており、根強い人気を持つ仕様です。
上段の銀色のノブがボリュームとなり、下段の黒色のノブがトーンとなり、フロントとリアで独立しており、2ボリューム、2トーンのサウンドメイクが可能となります。
マニアックな点ですがコントロールパネルの取り付けられているビスに注目していただきたいです。一般的にはピックガードとコントロールパネルの取り付けは同じ丸皿ネジを使うことが殆どですが、ヴィンテージ同様にコントロールパネルの取り付けにはトラスネジが使われています。サウンドに影響のある部分ではないですが、ヴィンテージ好きはニヤリとするポイントではないでしょうか。
フェンダーのベースの中で気になっている方が多いのがブリッジからリア・ピックアップの間の線です。これは弦のアースを取るために取り付けられているので外すとノイズが倍増します。今では取り付けられていないベースも多くなってきましたが、ブリッジの下からドリルで穴をあけてアースを取っています。1963年頃までのジャズベースの特徴的な部分といっても良いかと思います
レリック加工は最近多かった控えめなJourneyman Relicではなく、激しい使用感が特徴のHeavy Relicになっています。「数十年に及ぶ過酷なプレイとツアーを想起させるような使用感。深刻な打痕や摩耗から激しく変色したハードウェアやフィニッシュまで真のワークホースである」とのことですが、クラックの入り方が見事です。個人的にはオリンピック・ホワイトが焼けすぎていないところが好印象です。
一見するとスタックノブのジャズベースという印象ですが、アッシュボディになっていることでパンチの効いたアタック感のある元気なサウンドが特徴の個体になっています。
指板ラジアスが9.5インチになることでローポジションの影響は少ないですが、ハイポジションでの演奏性の高さと1弦から4弦までのサウンドの音量差が小さくなっています。指板ラジアスがきつくなるとブリッジでの弦高の差が大きくなり、弦とピックアップのポールピースの距離が弦によって(特に2弦と3弦)離れてしまいがちですが、指板ラジアスが緩くなることで弦とピックアップのポールピースの距離の差が小さくなり音量差が少なくなります。
ヴィンテージ・テイストあふれるルックスながらアッシュボディによるアタック感のあるシャープなサウンド、プレイアビリティの高さを見事にマッチさせた1本です。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。次回もお付き合いいただければ幸いです。
八坂
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