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yoshidaconsul
【毎週ショートショートnote】台にアニバーサリー
通葉国際高校。
開校して3年目の高校で、綺麗な校舎と施設が話題となり、今では地域で最も人気の高校とも言われている。
職員室の前の廊下では、数々の盾が台に乗っている。
「バスケ部県大会初出場」
「バレー部通葉市大会初優勝」
校長が自費で記念の盾を作っているらしい。
中には学業を讃えるものもあり、
「初 全国模試総合10位」
「〇〇大学模試 初A判定」
など、さまざまな「校内初」が飾られているのだ。
「大変だ、このままじゃ受かる大学がひとつもないや」
2023年12月。この高校に通う3年生の斉木聡馬は通葉国際高校の1期生。
なんとか合格して高校には入ることができたのだがレベルの高い授業に全くついていけず、模試ではE判定ばかりである。
「斉木、本当にどうするんだ。お母さんは浪人はダメだって言ってただろう」
担任の金剛先生が聡馬に心配そうな顔で言った。
「どうしよう、このままじゃ『通葉国際高校初浪人』の盾が飾られてしまうぞ」
聡馬の顔は真っ白になり、すぐに図書室へ向かった。