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1800年前の蒸気活用装置は蒸気機関になれなかったの、人の文化というか価値観が制限かけた面あると思うねんという話

今から1800年ほど前、すでに人類は、蒸気を活用した装置を使っていた。例えば神殿の自動扉。扉の前にある炎を灯す場所に火を入れると、熱が伝わって地下の水が沸騰し蒸気が伝わって、動力が動き扉が動くという仕組み。
その原理を応用すれば、もっと早くにしかも1000年前には、今のような暮らしをするようになっていたかもしれない。
しかし、歴史が語るところによれば、蒸気機関は生まれず、蒸気の力を活かした
神殿の自動扉どまりで、蒸気の活用は止まり、技術の発展が加速することはなかった。

なぜだろう?

いくつか要因はあるのだろうけれど、吾輩の意見では、当時の価値感や社会のルールが大きく発展を邪魔したと考えている。

我々ホモ・サピエンスは各々の価値観や物語を持っている。自分が持っている物語を通して、物事の好き嫌いを判断し、言動する。自分の物語の範囲の中で自的に得になる何かを見つけ、行動したりしなかったりする。だから自分が得だとおもっても、他人が同じように思うわけでもないし、他人が良いと思っても自分が嫌だなと思うこともある。
何に魅力を感じるかはその人の物語による。

1800年前、我らホモ·サピエンスが住んでいた世界は、今よりも魅力に乏しく、新しく何かを行動しようと考えたりする動機づけにも相当貧しかった。
私有財産制度も今のようではなく、さらに奴隷が労働力を賄っていたこともあり、自由人は奴隷の仕事が楽になればと考えることは少なく、奴隷は苦役が当たり前だった。さらに現在のように教育はエリートのものであり、一般的ではなかった。
このように改善や発明の動機付に乏しいだけでなく、人材も非常に限られていたため、技術開拓も現在と比較して限定的にならざるを得なかった。

つまり、技術発展の要素は1800年前にはあったが、発展への行動を促すインセンティブが決定的に欠けていたのだった。
当時、発展のインセンティブを社会に働かせるには、奴隷制度を辞めた上で、私有財産制度を現在に近づけなくてはいけなかったし、教育の普及にも努めなければならなかった。さらに知的財産権の確立も必要だった。

当時の当たり前とされていた価値観や物語から外に出られなかった結果、当時地球を跋扈していたホモ・サピエンスは技術発展への階段を途中で登るのをやめてしまったのだった。

このように我らホモ・サピエンスの思考や視点・視野はその物語や価値観で限定されてしまう。自分が信じている価値観、好き嫌い、自分が今生きている物語、つまり自分の当たり前から外に出るには、相当のエネルギーと勇気が必要なのだ。

例えば、中世ヨーロッパでの地動説の扱いを考えてみると、
当時当たり前だった地球の周りを他の天体が回っているとする天動説をカトリック、プロテスタント共に信仰していた。彼らは地動説が事実かどうかではなく、彼らの当たり前を守るためにガリレオを宗教裁判にかけた。事実かどうかではなく、彼らの物語に合致するか否かが問題だったわけだ。
だから検証よりも裁判になったのだ。(裁判とは人と人の物語の衝突により発生した利害を調整する仕組みだからだ)

当時のヨーロッパに住む人で権力を握っている人々が、自身の物語から自分の信仰する当たり前という虚構の外に出られなかった例である。

当然、これは現代を生きる我々にも当てはまる。
今、自分が生きる環境や人間関係の中で培われた当たり前、価値観を含め、紡いできた物語は生きていく上で必要である。しかし、今自分が生きている物語から外に出られる人は、実は非常に少ない。
お金もち、貧しいなどは関係なく、自分の物語の世界の範囲を知り、その外には他人の物語が存在していることを認知している人は、本当に少ない。

特に、今生きている環境が閉鎖的で多くの人々から富を奪うだけでなく、改善や発展のインセンティブの提供を失敗している国の国家元首となると、改善や発展のインセンネブが比較的働いているヨーロッパやUSA 、日本などの西側諸国と相容れないのは当たり前なのだ。国内の権力闘争において心理的安全性が低い国の国家元首が、異なりすぎる物語を生きる西側諸国を信用できないのは当然で、それを信用するには我々が想像するよりもはるかに多くの強い勇気が国家元首には求められる。

それほどに我々ホモ・サピエンスは今生きている環境に影響を受けるのだ。

問題の中で足掻く限り、問題はかき混ざりはすれど、なかなか解決しない。問題の外に出なくては問題の形はわからない。自分の物語から出る勇気がないと、失政し結局独りよがりな事態を招く。
これ、巻き込まれた人にとって立場関係なく迷惑でしかない。

物語の外に出る。責任が重くなるほど必要になってくるんだな。

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