タイでのLINE Pay、未来の可能性は。
こんにちは。
前回のTrule Walletの記事から時間があいてしまいました。
前回予告したようにLINE Payについて今日は少し書いてみます。LINE Payはその名の通り日本でも有名なLINEが運営している決済システムです。タイではバンコクの中央を走るBTSスカイトレインの自動改札用カード「Rabbitカード」と連携をしている事もあり「Rabbit Line Pay」とも呼ばれています。多くの人がBTSに乗るためのカードチャージをこのRabbit Line Pay経由で行っています。そして現在ではこのRabbit Line Payを使って様々なショップで買い物をする事ができます。支払い方法はTrue Walletと同じくQRスキャンがメインの方法となります。
さて肝心の対応店舗についてですが、前回のTrue WalletではCPグループ関連、セントラルグループ関連での利用可能率が高かったのですが、Rabbit LINE Payはどうなのでしょう。インターネット上で調べてみますと、チャージ対応店舗のリストがでてきました。
このページから見ますとタイでもセントラルグループやTOPSなど有名なショッピングセンターやハイパーマーケットでは使えそうです。
私がよく使うコーヒーショップになりますと、店舗による部分がありますがBlack Canyon Coffee(ブラックキャニオン)で使えます。ブラックキャニオンはBig Cやマックスバリューなどのスーパーマーケットの中でよく見かけます。2021年10月時点ではTrue Walletよりも使い道があるような印象さえあります。以前は使える場所が殆どなかったRabbit Line Pay、このままTrue Walletなどに駆逐されてしまうのかなと思った事も度々あったのですがさすがはLINE、タイに4000万人以上のユーザーを持つ規模は底力ですね。
このユーザー数を持って金融まで扱っているとなればLINEの快進撃はまだまだ続くと思われます。その根拠として、自社のサービスを長期にわたる持続可能なビジネスモデルにするには自社の商品に「通信」「金融」のいずれかを備えなければいけないと私は考えています。
例えばスマホは通信を持ち様々な機能を搭載してきました。スマホが通ってきた道(歴史)にはかつて栄華を極めたコンパクトデジタルカメラ、PDA等のモバイル手帳、電子辞書等の足跡がうっすらと残っています。いずれも通信機能搭載に手間取りスマホにユーザーを大きく奪われ、自らの機能もスマホに吸収され衰退しました。
金融にしても同じ傾向があります。ショッピングセンターの推移を見ればそれを理解する事ができます。戦後大きく飛躍した日本経済に支えられる形で発展してきた小売業も金融会社の有無でその存在感が大きく変わりました。金融会社をグループに持つ小売企業ではリアル店舗型でセゾンカードを持つ西武、イオンクレジットカードを持つイオングループ、セブン銀行を持つセブン&iホールディングス、オンラインコマースの世界では楽天銀行を持つ楽天、PayPay銀行を持つYahoo!(ソフトバンク系)等がありますが、それに対してダイエーやヤオハンといった金融会社をグループ企業に持たない会社は金融会社を持つ小売企業に買収をされて傘下となったり、または破綻をして消えていきました。
ビジネスとは常にキャッシュ(お金)に近いところで展開をするのが成功のセオリーだと私は思っています。その視点で見ると自社グループに金融会社を持つ企業はお金に近い所・・・というよりもむしろグループの金融会社を通じて自分たちのお金を市場に流しているようなものですので、サービスと金融の連動が容易になり、消費者向けのより良いサービスも開発できるようになります。そしてその結果として消費者にはメリットが発生し、彼らはその企業の固定客となり企業の業績向上に寄与していきます。
LINEはSNSとしてもFacebookと並ぶタイの2強です。Rabbit Line Payという金融サービスを持つ事でLine Shopや提携ショップにおけるサービス連携及びサービス造成が容易になります。今後も加速レベルを上げながら提携ショップの数、サービスの数を増やしていく事でしょう。
ただそんなRabbit LINE Payにも目の前に壁が無いかといえばそんな事はありません。その壁になりそうなのがこのコロナ期間にタイ政府が普及を積極的に行ってきたPrompt Payという支払い方法です。簡単に言えばQR決済を行い自分の銀行口座から支払い先に直接現金を送金するという手法です。True WalletもRabbit Line Payもクレジットカードではなく自分の持つ現金(または預金)が原資となります。現金を一旦これらのサービスにチャージしてから各方面への支払いをしていたわけですので、銀行口座アプリからQRスキャンで支払いが完了するとなればこの利便性は大きな脅威となります。勿論、True WalletやRabbit LINE Payにはポイントや割引等で様々なショップと連携できる強みもあります。しかし私の周囲にいる人たちの間ではPrompt Payで支払うケースが増えてきていることと、True WalletやRabbit LINE Payよりも使える店舗が多そうだという事があり、突然やってきたダークホースが「決済手段」の先頭に立ってしまいそうな雰囲気があります。
タイの決済方法、これからも注目です。
それでは今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうござました。