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タイにおけるWEBサイトって。
2007年にiPhoneが出て10年ちょっと。iPhoneが出てからインターネットへの関わり方が劇的に変わりました。最も大きな変化は、インターネットへのアクセスの大部分がPCからスマホに変わり、いつでもインターネットに接続できるようになったことでしょうか。そして更にここ5年くらいは、スマホの中でもブラウザよりもアプリを介したインターネットへの接続という流れがどどーんとやってきまして、「インターネットに接続する」事が無意識の活動(・・・というか生活の中で当たり前)になりつつあります。(昔はインターネット接続ボタンでPCからインターネット接続してましたからね)
僕が駐在しているタイでも同じで、We are social調べのデータでも、僕が運用しているSNSの解析でもモバイルアプリからのインターネットアクセスが8割越えしています。言い換えれば僕たちの時代のネットサーフィンはPCブラウザだったものが、現在はモバイルアプリでネットサーフィン・・・というのがタイなのです。この流れは当面・・・というかかなり長い間、続いていくでしょう。
過去化する"PC向け"デザイン
この時代の流れにおいて、様々な手法や技術、考え方が「過去扱い」されレガシー化されています。この20年間、ハードウェアもそうでしたよね。パソコン、PDA、WindowsCEモデル、ガラケー、i-Mode、PHS、ポケベル(先日サービス終了したようです)など色々ありましたが、iOSとAndroidOS、WindowsとMacintoshを持つ媒体にあっという間に淘汰されました。
この流れはWEBデザインでも同様です。僕はデザイナーではないのでデザインセンスについては語る事はできませんが、データによって裏付けがされている事で1つ言える事は、このタイそして周辺国の東南アジアにおいて、今後PC向けのWEBデザインをどんなに綺麗に作っても「無意味」と等しくなってきている事は間違いありませんし、PCデザインで凄いものを作るという考え方は「過去化」したWEB戦略と言われるようになるかと思います。
これは2017年のデータですが、2017年段階でタイにおいてモバイルからインターネットアクセスをする人の割合は66%、PCからアクセスする人は29%と出ています(We are social調べ)。元々パソコン普及率が低い国であった事もあり、この結果には納得ができます。また、タイに限らず個人収入が高くない国において携帯とは別でパソコンを買うお金に余裕がない人が多い国では必要度の高い携帯電話(スマホ)重視の状態である現状、「スマホやタブレットあるのになんでパソコンいるの?」というそもそものPCの重要性が理解されずにある現状(確かにPCの優位性は年々タブレットの進化によって薄まってはいるのも間違い無いのですが)から、PC向けのWEBデザインに注目を集める事は今後更に厳しくなるであろうと思われます。
実際の作業現場においても、タイではWEB制作の基本はモバイルデザイン中心に進みPCデザインはその次という扱いになっています。3年前まで大きなECを担当していた時も、その段階ですらモバイルデザインありきのECでした。少し前、ある日系企業がPC版でとても綺麗なパララックスWEBを作っていたのですが、モバイルになると動かずにただの静止画WEBになっていてつまらないWEBに変わってしまいました。誰が見てもPC版に力を注いでいるのはよくわかり、モバイルはあまり気にしていなかったのかもしれません。しかし現実的には、今でもモバイル版をPC版より下に見る企業WEB担当者は少なくなく、まだまだWEBの「費用対効果」よりもWEBの「作品化」をする事のほうが好まれているようです。
ちなみに前述したパララックスWEBサイトですが、1年したら全面リニューアルされてパララックス部分が排除されていました。他人事ながら当時の開発会社さんが今どのような状況に置かれているのだろう・・・と心配になります。
SNSやアプリに対して劣勢なWEBサイト
じゃあ、タイならモバイル版WEBがあれば大丈夫だね!と思うかもしれませんが、実はそう単純な話でもありません。確かにWEBは必須ツールですので必ず持った方がいい自社メディアです。しかしタイのマーケットはWEBには優しくない環境です。僕が扱うSNSのインサイトや世間で発表されている各種データを見ても、タイ人のブラウザ利用率は低いです。スマホを開いてブラウザへ・・・という流れは僕たち日本人にとっては当たり前ですが、この国ではスマホを開いたらまずSNSです。それもFacebookかLINE。
Facebookは2017年段階で4,000万アカウント(We are social調べ)、LINEは2018年段階で4,100万アカウント(LINEタイへヒアリング)をタイ国内で有しています。タイの人口が約7,000万人ですから半数以上のシェア、乳幼児や高齢者を除けばほぼ全員に近いシェアを持ちます。FacebookもLINEもタイにおける国民的メディアと言っていいでしょうね。
そのようなモバイルライフの環境では、情報は自ずとFacebookに集まります。LINEも情報メディアとして頑張っていますが、やはりFacebookは情報収集ツール、LINEはコミュニケーションツールという位置付けが出来上がっている部分があります。つまり企業はFacebook上に情報を出すことが最も"PR的"というわけです。日本では下降線と言われるFacebook(とはいってもユーザー数はいまだに多い)ですが、タイ(周辺国も同様)においては絶対的に重要なメディアというのは間違いありません。
「隠れC層」を忘れてはダメ
FacebookはBtoCだよ!と話す方、思われる方もいるかと思いますが、「ツールへの考え方は自分の使い方がベースになる」という点を忘れてはいけません。自分がどのようにFacebookを使っているか次第で「Facebookとは」が出来上がってしまい、他の用途への感受性が下がりやすくなります。タイにおいてはBtoBにおいても頻繁に企業Facebookページが運用されています。BtoBとはいっても後者のBを分解していけばそこにいるのは個人です。それが購買担当者であったり調達部長だったりするわけですね。そういう層を「隠れC層」を勝手に名付けているのですが、「隠れC層」への訴求ができるという点で国民的メディアとなったFacebookは価値が高いのです。またFacebookは個人アカウントの集合体なのでサービスの裏側では個人がある程度のカテゴリで分類されて紐付けされています。そのカテゴリに対して広告を打てるというのも大きなメリットで、いいね!によって相手の顔がわかる事も、個人の特定ができない有料Web広告と比べて費用他効果があると認識されています。
このようにスマホを開いている時間の多くをSNSに奪われてしまっているWEBサイトに、現状でSNSに太刀打ちできる術はほぼありません。WEBサイトに来てもらう為には、WEB有料広告の他ではSNSやアプリなどからの流入を期待するのが上策で、WEB流入に向けたキャンペーンをSNS側で設定する事が一般的な手法になっています。ただ、現在はWEBサイトを絡めずにFacebookだけで目的を達成させてしまうケースも非常に多く、その点でもWEBサイトの位置付けが「名刺&会社情報+製品情報の倉庫」となりやすくなっています。
勿論SNSをただやればいいというわけではなく、明確なコンセプトに従ったコンテンツ戦略、スケジュール戦略、広告予算確保、そして未来のあるべき姿をイメージし、そこに向けて動いていくSNS戦略に基づくキャンペーン造成が必要になって来ます。
「タイにおけるWEBサイトって」というお題で今回は記事を書きましたが、簡単にまとめますと「WEBサイトの立ち位置は変わった」という内容になります。(短っ!)
それでは今日はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございました。