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失業率

2021年第四四半期のタイにおける失業率が1.6%に改善(前期は2.3%)というニュースを見ていて、以前は0.7%あたりの時代があった事を考えると随分と高くなったなと感じます。IMFのデータを元にした失業率データを下記のWebサイトで見る事ができます。

このWebサイトを見るとわかりますが、統計がある2001年がタイでは最も高く、コロナの時でもそこまで大きく失業率は悪化していないんですよね。2001年はタイからはじまったアジア通貨危機の影響がまだ残る時期だと思うのですが、この時期には多くの日系製造業メーカーがタイに進出してきますのでこの後は右肩下がりで失業率が下がっていきます。

2011年、日本では春先に東日本大震災があり年末にはタイで大洪水がありました。多くの企業が被災して工場を失ったタイ産業界において過去20年で最悪の1年になりましたが、不思議なことにこの年には失業率が大きく下がるんですよね。それは日本も同じで2011年からは失業率が更に大きく下落傾向に入ります。タイの場合は災害からの復興で労働者の需要が上がったという事もあるのかもしれません。しかしその流れもタイ経済政策の1つであったファーストカー制度が2012年末に終わって自動車業界を中心に低迷の時代が2013年からはじまった事で終了、再び失業率は上がり始めます。そして新型コロナの影響で多くの企業が活動を長期間封じられる形になった2020年は失業率がデータ計測以来2番目の高さを記録する事になります。

自然災害の場合は、災害そのものは短期間で収束し多くの企業が体力をマイナスにする前に再稼働でき回復に向けた活動が活発になるので、中長期で見れば失業率は下がるのだと思いますが、コロナの場合は2年以上の長期にわたる感染災害となっており回復に向けた動きをする前に体力を失ってマイナスの方向に大きく振れてしまい、縮小や閉鎖に向けて動いてしまう企業も多く、後者の方がより経済に与える影響が深刻なのだと改めて思いました。

現在ウクライナとロシアが交戦中でウクライナの大地が戦場として荒らされてしまっています。多くの現地企業が体力を失い続けている現状に経営者として心がとても痛みます。ただ数年後、ウクライナの失業率がどう変化しているのかというは1つのケーススタディになると思います。戦争が自然災害と異なり失業率が落ちてしまうようであればそれを狙って再び独裁者が戦争を手段として使う可能性も出てきます。そうならないよう、世界中でウクライナ復興を支援していきたいですよね。

今回も最後までご覧頂きましてありがとうございました。

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