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楳図かずおさん、あなたはぼくの大恩人です。

小学生の頃、少年サンデーで始まった楳図かずおさんの連載漫画「まことちゃん」が衝撃的に面白くてめちゃくちゃハマって、過去作品の「アゲイン」(まことちゃんのベースになった子供も出てくる)なども読みあさって、憧れの人だったのですが、なんと、ぼくが広告代理店にいた1995年にラフォーレミュージアム原宿で開催された『ウメカニズム』という楳図かずおさんの展覧会のポスターなどのグラフィックを担当することになって(会社の浅野幸彦さんというプロデューサーに無理言ってこの仕事に入れてもらった)、写真家のホンマタカシさんに楳図さんの顔を撮影してもらってマッチョフィギュアに合成して、背景を楳図さんの作品で埋め尽くすというポスターを作りました。

『ウメカニズム 前人未到の楳図かずお展』
1995年 ラフォーレミュージアム原宿
『ウメカニズム 前人未到の楳図かずお展』
レセプションパーティー招待状

そして、この展覧会のお礼とのことで、楳図さんが僕らを食事に誘ってくれて、たくさん漫画の話をしてくれて、本当に感動して幸せな時間でした。

その数ヶ月後のこと、当時所属していた広告代理店のオフィスの席にいたら「秋山くん、井上さんという人から電話だよ~」と電話を受けまして(当時はケータイ電話なんてありません)、井上さんって誰だろう?と思いながら出ると、「井上です。井上嗣也です。」と、大尊敬しているアートディレクター の井上嗣也(つぐや)さんからの電話でした。電話の向こうで嗣也さんは、「秋山くんは(東京)ADCに楳図かずおの展覧会のポスターを出品していたと思うけど、僕は良いと思ってチップを置いたけど、置かれているチップの数が少なかったから、賞どころか年鑑に掲載もされないかもしれない。でも、賞が獲れなかったから、もうそういうデザインはやめようと思わずに、君は今やっていることをやり続けなさい。そうすれば、必ず誰かが君を見つけてくれるはずだから」と話してくれました。自分でも好きな作品だったので、嗣也さんがそのように言ってくれたおかげで自信がついて、スタイルは変えずにデザインしていたら、その後に自分らしい良い仕事ができるようになったので、『ウメカニズム』のポスターが無かったら、今の自分は無いと思っています。嗣也さんのこの電話、本当に勇気づけられました。

楳図かずおさんに最後にお会いしたのは、2013年に雑誌『ダ・ヴィンチ』の取材について行って吉祥寺のお宅にお邪魔した時で、このツーショット写真はその時に一緒に撮ってもらいました。

2013年1月10日  吉祥寺の楳図かずおさんのお宅にて


楳図かずおさん、本当にありがとうございました。
あなたがいなかったら、今の自分はいません。
天国でも面白い刺激的な作品を生み出してください。

ご冥福をお祈りします。
サバラ

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