マガジンのカバー画像

11月の犬とドレスを着た象

8
自費出版しようとして諦めた本の中身。
運営しているクリエイター

記事一覧

本能

本能

8

9

「本能」
寒すぎて目が覚めた。タオルケット1枚で寝たのが間違いだった。秋は体温調節が1番難しい。俺は今暖かくなりたい。だが押し入れから毛布を引っ張り出すのはめんどくさいし、また明日から暑くなるみたいな事を昨夜テレビで言ってたので、エアコンの「暖房」のボタンを押した。自分の欲求には逆らえない。

午後だけ休日出勤した。当番だから仕方ないが休みの日に仕事に出ても殆どする事がないのでTV

もっとみる
TABOO

TABOO

7

「TABOO」
新しい総理大臣が決まったと思ったら解散総選挙が行われる我が国。ロクに達成もできないマニフェストを掲げ、働いていても選挙カーの声が聞こえてくる。野党は政権交代に躍起になっているが、仮に政権取ったその後のビジョンみたいなのが全く聞こえてこない。とりあえず与党の一連の政治とカネの問題の批判ばかりをしているイメージ。
政治家というだけでも金は沢山貰っているはずなのに、何故裏金とか

もっとみる
ヘヴィーなB.I.G.

ヘヴィーなB.I.G.

6

「ヘヴィーなB.I.G.」
高校生の頃。ショッピングモールの中のドトールで母親からもらった小銭を握りしめてようやく飲めるようになったコーヒーを注文して適当に席に着いて飲んでた。母親は洋服を見に行ってて30分くらいは戻ってこない気配。俺が座ってた席の隣に40代くらいの男性が2人向かい合いながら座り、2人とも同じカフェオレを飲み、ミルクレープをフォークで突っつきながら終始イライラしている感じだ

もっとみる
A FEW FRAMES

A FEW FRAMES

5

俺の直属の上司は苗字が「猿田」で「猿」と入っているため、仲の良い同僚からは「サル」と呼ばれている。ただ上司の見た目は「サル」からは遠く、高校時代からラグビーをやっており現在も社会人クラブチームに所属しており、身体が非常にゴツくて特に腕なんかめちゃくちゃ太いので、上司の上の課長とか部長には「ゴリラ」とか、スラムダンクのノリで「ゴリ」とか呼ばれていた。部下の我々みたいなもんは勿論「猿田さん」と

もっとみる
Pinfu

Pinfu

4

「Pinfu」
普段から全身ユニクロのコーディネートの俺は今日も平凡に生きる。赤や黄色の服を着ている人を街で見るたびに「目立ちたがり屋なのかな」と感じてしまうくらい俺は黒とかの服が多くて目立つような服は一切着ないし着ようと思ったこともない。
俺の知り合いに「忍」という奴がいて、彼のコーディネートはもうフォーマルなんてのは程遠く、ド派手な柄シャツを着ていたりして、背も高く筋肉質なのでカタギ

もっとみる
ポストにマヨネーズ

ポストにマヨネーズ

3

「ポストにマヨネーズ」
かつて同棲していた女とは「食の好みの不一致」で別れた。何も無い休日。その日の昼は家にストックしてあったカップ焼きそばの「一平ちゃん」を食べた。3分経って湯切りをして、液体ソースをかけて食べようとしたら横になりながら撮り溜めていた「アメトーーク」を観ていた彼女が「からしマヨはかけないの?」と聞いてきた。俺は「別に要らないかな」と言ったら彼女は「それが美味しいのに、勿体

もっとみる
棺桶ロック

棺桶ロック

2

「棺桶ロック」
ステージ上でスポットライトを浴び、坊主頭の男はギターを弾きながら叫んでいた。その姿はイースタン・ユースの吉野寿をリスペクトしているようだった。坊主頭の男は実家が新潟県にある寺の息子で、通っていた駒澤大学でも仏教を専攻していた。大学を卒業した後は都内の寺で修行僧として勤める一方で、大学の同級生とバンドを組んで週に1回程度ライブハウスで歌っていた。坊主頭の男は人間椅子の和嶋慎治

もっとみる
はじめに

はじめに

1

こんにちは。オカベカフカって言います。普段は働きながら趣味で小説書いたり、エッセイ書いたりしてます。この度、自費で「11月の犬とドレスを着た象」という本を出版しようと夏前から企んでいたのですが、プライベートで予想外の事が色々と立て続けに起こって、それがモロに私の根っからのやる気の無さに響いてしまい、自費で出版しようなどという考えは頓挫してしまいました。全て自分が悪いのです。ただ毎日のようにi

もっとみる