連載『オスカルな女たち』
《 まったくありえない 》・・・9
「でもそんな家庭なら、高校生の羽子(わこ)ちゃんがお嫁に行ってやっていけるの?」
「その辺はこれからになると思うけれど。高校は卒業してもらうわ。中卒で嫁に出したとあっては私のプライドが許さないもの」
「腹デカいまま、学校行かせるのか」
飲みかけのビールを吹きそうになる真実(まこと)。
「そうじゃないわ。通信の高校に編入させるつもりよ。望むなら大学も…まぁ、それはないでしょうけど。その辺のけじめはつけてもらわないと、私も手放しでは喜べない。だから今日は、そういった話を主人にするために英気を養おうと、あなたたちに来てもらったわけなのよ」
「へぇ…」
しみじみと聞き入っていたつかさだが、
「え? それって、玲(あきら)。おばぁちゃん!?」
自然とほころんでしまう両手を口元にあて「30代で!?」と小声で続けた。
「しかも息子と孫がほぼ同年齢…」
楽しそうに口の端をゆがめ、追い打ちをかける真実。
「子どもの成長って、あっという間よマコ」
チロリと刺すような視線を投げ、再びジョッキを傾ける玲。
「なんであたし?」
「最近の佑介の態度を思えば、あなたもそろそろ今の関係を考え直した方がいいってことよ」
「関係ねぇよ」
「まぁ、いろいろと事情があるのでしょうけど…」
「事情って言えば…」
静々と織瀬(おりせ)が語りだした。
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです