カニ鍋

連載『オスカルな女たち』

《 最初で最後の晩餐 》・・・13

「志半ばにして撃沈か…? 勝負パンツの出番はなしか…?」
 と、意外に真顔で突っ込む真実(まこと)。
「勝負パンツ?」
 先日盛り上がった話を思い返し、上目遣いでつかさを見る織瀬(おりせ)。
「勝負パンツなんてないよ」
「そうなの? 男と会うときはみんなちっちゃいパンツ履いて行くもんだと思ってた」
 きょとんと、自分の固定観念に疑問を抱く真実。
「ちっちゃいパンツって…もうそんなの何年も履いてないわよ。だいたい腰が冷えるし」
「だってデートだろ? 一応」
「そういうの期待してないもの。ていうより、面白いくらいにそっちに話が流れないのよねぇ。あたしも別にそっちはどうでもいいって感じ。でもまったくないってのも…」
「女としては、問題ね」
 ズバリ言い切る玲(あきら)。
「つかさはそうだとしても、男は違うだろ。いつそうなるか解らないんだから、ちっちゃいパンツ、買っといたら?」
 他人事だと思って遠慮のない真実は、空笑いして少なくなったビールを一気に喉に流し込む。
「ちっちゃいパンツで恋するわけじゃないんだから…。そういうマコはもってるの?」
「必要ないもん」
「色気ないわね」
 つまらなそうに言って箸をすすめる玲。
「ほっとけ」

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たゆ・たうひと
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです