連載『オスカルな女たち』
《 イヴの憂鬱 》・・・14
「オレも内野さんにあおられた口だから」
「あおられた?…って、どうして?」
そう言いながら視線を起こす織瀬(おりせ)に、
「元カレに出てこられちゃ…やっぱり焦るでしょ…?」
と、悪びれもなくそう言った。
「そんな…。あれはそういう意味じゃ…」
織瀬としても忘れたい事実をまた突きつけられる。
「そっちはそうでしょうけど…。こないだ、つかささんたちと楽しそうに『元カレ』の話、してたじゃないですか。だからてっきり、内野さんと…」
口ごもる。
「ヨリが戻った、と…?」
そんなわけないじゃない…と笑い飛ばす織瀬。
「今じゃ苦手な上司です」
そう言ってホワイトレディに手を伸ばす。
「そう、みたいですね…」
先日のことを思い出したのか、真田は小さく笑った。
「だいたい、もしそうだったとして…連れてくるわけないじゃない? ここに」
いくらぼーっとしてる織瀬でも、ヨリが戻った元カレをわざわざ自分たちの憩いの場に連れてくるほど神経は図太くない。
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