連載『オスカルな女たち』
《 織姫と彦星 》・・・2
「誘われなかったの?」
沈黙を息苦しく感じた織瀬(おりせ)は、上目遣いにいたずらな質問を投げかけてみる。
「誘われましたよ…」
ため息まじりに答える真田。
「う、そ…」
あてずっぽうで出した質問がまさかのびっくり箱となって返ってきた。
「でも、ついていったところでただのお邪魔虫ですからね。オレにも『彼女連れて来い』とは言ってましたけど、急だったんで」
ちらりとこちらを見る。
(まさか、誘う気だった…?)
余計な勘ぐりをしてしまう。それよりも、
「やっぱり…」
口を突いて出てしまった言葉に、少し後悔する。
「やっぱり、なんです? オレのこと疑ってます?」
シェーカーを取り出す。
「あぁ、今日はいいのに…」
店の休みの日にまで仕事をしなくても…と、織瀬なりの気遣いだった。
「いいじゃないですか、せっかくの日なんですから」
そういわれてもピンとこないのが本音だった。
今日は12月25日で、世間はまだクリスマスなのだ。だが、店内の飾りは既にお正月モードで、真田の態度にもまったくサプライズ感を感じられない。
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
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