連載『オスカルな女たち』
《 女子会 》・・・1
『男』という生き物は、1日24時間、1年365日、いつでもどこでも発情可能で、頭の中はピンク一色、隙あらば女と一発お願いしたい!…と日柄年中考えているものだと思っていた。
「うちの主人、浮気、してるんじゃないかしら…って思うのよ」
「あら、そんなこと思わせる物的証拠でも見つかりましたの?」
「女のひとりやふたり、いたところでどうだっていうの」
「どうせ、お金目当てじゃないの~?」
「そんな簡単なことじゃありませんわ」
その時、座敷の外で鹿威しが「カ、コーン…」と小気味よく響いた。
「ちょっと! おかしくないこと…?」
思わず荷物を取り落としそうになる。
「皆さまお揃いですよ…」
と、いそいそと通された座敷の襖を開けたところで、奇異なやり取りが耳に飛び込んできたことに、眉根を歪めて立ち尽くす『高嶺(高値)のオスカル』こと〈水本玲(旧制:御門)〉。
(皆さまって…。このメンツ…?)
「あら、玲(あきら)さん。お待ちしておりましたわ」
そういって立ち上がったのは、たった今「夫が浮気している」と語っていたではないだろうか和服美人、『巻き毛のオスカル』こと〈御門明日香(旧制:西園寺)〉。ここ割烹料理店「みかど」の若女将であり、奇しくも玲の兄嫁である。
「明日香、さん…? 緊急事態だっていうから来たのに。この展開は…一体なんなの?」
「まぁまぁ、とりあえず座ってらして。上座に…」
そそくさと玲の手荷物を奪い取り、さくさくと床の間を背にお誕生日席に促す。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもお読みいただきありがとうございます
とにかく今は、やり遂げることを目標にしています
ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです