連載『オスカルな女たち』
《 イヴの憂鬱 》・・・15
「タイミングよすぎなんです」
真田がすねた言い方をする。
対し、織瀬(おりせ)は少し意地悪な言い方で返した。
「聞いてたのね…元カレの話」
先日の真実とつかさと3人で「つき合うなら元カレと…」の話題で盛り上がった日のことを言っている。
「聞こえちゃったんです、よ」
少し照れたように、あの時は心底焦りました…と、いつもの冷静な真田らしからぬことを口にした。
「だからって…。解るでしょう? あの威圧的な態度…あとはこの前説明した通りよ。仮にあなたの言う牽制だったとしても、内野代表は今さら動かないわよ」
多分…と、心に言い聞かせてカクテルを口にした。
「そうですかね…」
「そうなの…! あ、つかさたちには内緒よ。彼のこと、なにも知らないから…。会社の上司ってことしか話してないの」
「はい、心得てます」
そこは「守秘義務」ですから…と言ってほほ笑んだ。
「ひとまず。旅行の件は差し控えます。でも反故にはしませんよ」
「え…?」
「いつでも対応しますから」
諦めませんよ…と、最後に真田は意地悪く微笑んだ。
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