あぁ、わかった
わたしにとって「映画」というと夏休み。わたしの住んでいたところは、あまりに田舎すぎて映画館になじみがなく、あまり普及していなかったこともあり「家族旅行」なみの頻度でしか行けなかった。ゆえの夏休み『ドラえもん のび太の~』が定番の幼少期でした。
確か、まだ小学生だったと思う。当時テレビ放送していた『おはよう!スパンク』が大好きで大好きで大好きで、わたしは夏休みの映画館を楽しみにしていた。・・・が、車の運転ができない母は、電車で行くことを億劫がっていたのか、単に忙しかっただけなのか、ずるずるなんだかんだと理由をつけては先延ばしにされたため、ようやっと行った時にはポスターは塗り込められていた。うろ覚えであるが、当時木製の看板に大きなポスターが張られており、次の映画が来るとペンキで塗りつぶして次のポスターが張られていた(ような?←うろ覚え)。塗りつぶしのペンキの下に、スパンクやらキャット、登場人物のペットたちの絵柄を見て悔し涙を流したことを思い出した。
スパンクが主人公なんだろうけど、そこはわたしの中ではおまけに近くて、思春期前のわたしは登場人物の恋愛事情が気になって見ていたことを覚えている。それと放送の前後で、スパンクの飼い主の「愛ちゃん」が毎回、パリで働いているママに「ボンジュールママ」とか「ボンソワールママ」って語り掛けるシーンがなんとも新鮮で憧れていた。それまで『魔女っ子チックル』や『キャンディ💛キャンディ』といった、現実離れした世界や知らない国のものを見ていたわたしが、初めて現実と重ね合わせて見たアニメだったかもしれない。
当時は子どもだったため、原作ありきのアニメとは思っていなくて、当然ながら原作を読んだことはなく、原作とアニメがちょっとずつ違うとかそういう大人の事情をのちのち知ることになるのだが、わたしにはTVの「スパンク」が唯一無二だった。少女漫画なので当然〈恋愛事情〉というものが存在しておりまして・・・実は登場人物に理想の相手を見つけたわたし。その名を「塚原誠也」くん、なんとよくも名前を憶えていた! 初恋と言っても過言ではない! しかし、彼は愛ちゃんの相手ではない。でもわたし的にはどうしても愛ちゃんとうまくいってほしかった! 愛ちゃんのお相手は物静かで大人びた人だったような気がするが、塚原誠也くんは学ランの袖を腕まくりして、ちょっとワルの香りのする転校生で、現実にそんな転校生をずっ~と待ってた(恥)少女時代でありました(/ω\)
大人になってから、再放送で見たその映画は、感動も薄く、思っていたものとは違っていた(登場人物すら間違えていた!)という残念な現実を受け入れざるを得なくなるのだが、やっぱりあの頃に見たかったなぁって思った。
本を読むのもそうだけど、その時の気持ちでその時に感じられるものはとても貴重だと思う。まったく見れない(読めない)わけではないけれど、やっぱり『感動』というのは、いつも同じに感じられるというわけではないと思うから。あの時見ておけば…あの頃読んでおけば…がやまほど! 勿体ないことをしました。
あの時見ておけば…あの頃読んでおけば…は、当時クリアできていたからと言って満足、完璧な訳でもない。なぜなら子どもには理解できない場面や言葉、ニュアンスという「自分で感じて」~な部分が存在するからだ。しかし、それはのちにちゃぁ~んと解決できる。その時解らなくても大人になれば「あぁ」と、合点の行くことになる。ちゃんと腑に落ちるのだ。これだから一分一秒見逃せない! 映像とか書面て、素晴らしいですね。
というわけで、大人になるにつれ「あぁ、わかった」が増えていく。それが学習、それが成長なんだろう。それは未だにあるし、これからも続く。まだまだ感じなければいけないことはやまほどだし、まだまだ吸収しなければいけないこともやまほどだ。たくさんの「あぁ、わかった」と、たくさんの「へぇ、そうなんだ」を引っ提げてこれからに挑みたい。とにかく頑張ろう。