連載『オスカルな女たち』
《 真実を語る 》・・・15
「いや、ダメだ。…この際、玲(あきら)のとこに世話になろう。帰ったんだろ? お姫様」
それは玲の兄嫁である『巻き毛のオスカル』を差した言葉だった。
そうして真実(まこと)は
「帰ったんだろ? 織瀬(おりせ)のおかげで、さ」
と続け、ニヤリとしたのち、
「玲に借り返してもらおうぜ」
そう言って立ち上がった。
「え、でも…」
引き留めようとする織瀬を尻目に、電話をかけようと携帯電話を探す真実だが、
「任せとけって…。それとも、織瀬が気まずい、か?」
はたと動きを止め、振り返る。
「そんなことないけど。玲のところだってやっと落ち着いたのに…」
「この際、玲に部屋ひとつ提供してもらおうぜ。で、しばらくあたしと一緒にいよう」
名案!…とばかりに、真実は携帯をすくい上げた。
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