連載『オスカルな女たち』
《 ありのまま 》・・・10
開店まで、これ以上なにをするのか…と問う玲(あきら)に、
「今日はね。これから、シャンプー用のシンクが入る予定なんだ。大型犬も扱うつもりで準備してたんだけど、ちょっと既製のシンクじゃ幅が合わなくて特注で頼んだから…。あとはね、新しいスタッフの面接」
さすがに店の話となると、つかさの声も弾む。
「あら、経営者らしいじゃない」
「それが不安の種…そういうの得意じゃないから。今さらながらに怖気づいてるの~」
言いながらつかさは仕切りの奥に入っていき、空調の電源を入れて戻ってきた。
「そんなことより…今日は、どうした? ホントは話があったんじゃない?」
言いながらつかさは、出入口付近に設置されたカウンターに入ると玲の顔をみた。
「まぁ、そうね…」
玲は小さく溜息をつき、
「今朝、織瀬(おりせ)の病院に行ってきたのよ」
腕組みをしながら、手術を明日に控えた織瀬の入院先に出掛けて来たことを告げた。
「え? そうなの? あたしも後から行こうと思ってたんだけど…言ってくれたら一緒に行ったのに」
そう残念がるつかさに「そうなんだけどね…」と、玲は数日前の真実(まこと)からの電話の内容を語り始めた。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもお読みいただきありがとうございます
とにかく今は、やり遂げることを目標にしています
ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです