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連載『オスカルな女たち』

《 ポジション 》・・・14

「やだ、がっつかないでよ」
「そりゃがっつくさ、そんなおいしいネタ」
 笑いを隠さない真実。
「ネタって…。まぁ、退屈しのぎにはなるのかしら…」
 言いながら失笑する玲。
「余裕だねぇ。で、誰に奪われたわけ?」
 話の内容になんとなく小声になる真実。
「秋山のガキ」
「あら~お嬢様らしからぬ言葉遣い」
 ますます声が上ずっていく。
「だって…」
「随分ご執心みたいだものねぇ、彼。事務の女の子いなかったの?」
 つかさも便乗する。
「その日は綾香のいない日でね。私も店には出ないつもりだったのよ…」
 物憂げにため息をついて見せる。
「だから、ちょっと寄ったタイミングであいつと出くわしちゃって」
「奪われたのね…」
 神妙な面持ちで聞いているようで目が笑っているつかさに、玲はすかさず「楽しんでるわね…」と冷ややかな視線を投げた。
「油断したって? まんざらでもないくせに」
「ときめいちゃった?」
「ぜ~んぜん。勢いよく来たものだから…歯がぶつかって」
 玲はその時の情景を思い出したのか、無意識に口元を抑えた。
「やだ、若い~」
 口元を抑え、目を細めるつかさ。新鮮な光景がだいぶ嬉しそうだ。
「でも、まぁ。…意外と、悪くはなかったわ」
「ぬけぬけと…」
 人妻が…と、玲を見遣る真実。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです