着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・13


「桜子さんの旦那様、いくつ上だった?」
思い出したように弥生子(やえこ)が問う。

「うちは14ですわね。だから当然のようにまったく触れられもしないわ。むしろ私は、静かな夜に感謝してるくらいですけどね…」
言い殴りビールグラスを煽る桜子は、負け惜しみを言っているようにも見て取れるが、そう軽く「なんでもないことだ」という風に自分の夫婦の事情も明日香と大差ない…とさりげなく臭わせた。

「明日香さんとは逆に、いやいや相手なさってる奥方だって世の中にはたくさんいるってことですのよ…」
その代わりというわけではないだろうが、今はすっかりひとり娘のお受験に夢中の桜子だ。

「そうですの…?」
「浮気されてるなら、明日香も浮気すればいいのよ…。言い寄ってくる男がいないわけじゃないでしょう?」
しれっとそんなことを言うのは昔も今も「来る者は拒まず、去る者は追わず」を貫く肉食系女子の遥。

「わ、わたくしは、そんなに簡単なお話じゃないんですのよ…!」
「お嬢の明日香には無理よね~」
そうは言っても、少なからずここにいる5人は全員お嬢様だ。

(なんなの? このやり取り…)
傍観を決め込んだ玲(あきら)にはデジャブのように思えてならない。


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たゆ・たうひと
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです