連載『オスカルな女たち』
《 いちばんいい? 》・・・12
3人は場所を〈ファミリールーム〉に移し、
「さぁ、ティータイムにしましょう…」
したたか大きくなったお腹を揺らしながら、いつも通りの明るい弥生子(やえこ)。この部屋もすっかり自分の部屋のように使いこなし、病室とは違う温かさが感じられるようになっていた。
「今日は〈ゆず茶〉よ。ビタミンCを摂らないとねぇ…最近寒いから、体を冷やさないようにしないと」
「あんまり飲みすぎるなよ、浮腫むぞ」
低く答える真実(まこと)。
「解ってますよ~」
弥生子と真実とのやり取りも、初めの頃と比べると幾分柔らかくなってきただろうか。だが、
「砂糖…」
ひとくち口をつけてカップを差し出す真実に、
「これも!? 真実さん、あなた血糖値大丈夫? 医者の不養生なんて全然かっこよくないから…!」
弥生子の態度は相変わらずで、時折真実の口の端が引きつるのは既に癖のひとつになっているのか、
「別にカッコつけてないから」
そういいながらもカップを傾け、あおるように突き出す。
「人間ドックとかどうしてるの?」
ぶつぶつ言いながらも素直に砂糖を足しているあたり、これもいつものことらしい。
「どうでもいいだろ、ひとのことは」
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです