連載『オスカルな女たち』
《 ポジション 》・・・10
「簡単に答えてるようなのに…哲学的~」
「そういうんじゃないよ」
「だって、なんだか言い負かされた感じ」
「負かしてないから」
買い被りだと苦笑いする。
「マコ。嫌がってたわりに、随分まじめに答えてるじゃない…?」
「そりゃぁ…一応、全国誌なわけだし。顔出ちゃうし」
逃げられない取材ではあったが、真摯に取り組んだ真実(まこと)のそれはこの雑誌『open』にとってとても合致した答えだと思うふたりだった。
「美古都(みこと)ちゃんも自慢できるね、かっこいいママだって」
真実が一番気に病んでいたことも、これで心配はなくなったというわけだ。だが、娘の名前が出てきたことでついでに出てくるであろう元夫の名前が想像できるだけに、
「もう、この話題やめない?」
これ以上ここでインタビューを全部読み上げていくのかと、真実は運ばれてきたジョッキを受け取るついで、次の話題を促した。
「そうね、マコもそろそろ限界みたいだし。私もあとで買って読むことにするわ」
との玲(あきら)の言葉に、真実の舌打ちで雑誌は紙袋に収められた。
「移動の途中でおりちゃんも読むって言ってたから、あとでメールが来るかもよ」
言いながら、その織瀬(おりせ)の反応が気になるつかさ。
「考えてみたら、あたしたち3人って珍しい取り合わせよね」
改めて織瀬の不在がさみしいと感じた。そう感じるまでに、自分たちの関係はこの10年、ここ数ヶ月でだいぶ親密になってきている。それがとてもいいことだと、ここにいる3人は感じていた。もちろん、織瀬にとってもそうだろう。
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