連載『オスカルな女たち』
《 悩める子羊 》・・・2
「なんて? できる女? 必要とされる女? それがまこちゃんなの?」
つかさは手に取った資料をぱらぱらとめくり、なにやら細かく書かれたスケジュールに目を通しながら、未だ憮然とした態度の真実(まこと)を見て言った。
「でもさ、『できる女』と『必要とされる女』って、ひとくくりなの? それとも別々に対象者がいるの?」
つかさから資料を受け取り織瀬(おりせ)が問う。
「そうだよね。『できる』から必要とされるのか、『必要』とされるためにできるようになるのか…とも、解釈できるけど、」
「知らないよ、そんなの~」
大きなため息とともにテーブルに突っ伏する真実。ますます機嫌を損ねそうだとつかさは、
「店員、遅いね。そんなに混んでもいないのに…」
と、取り繕うようにあたりを見回して続けた。
「ここも人手不足?」
いつもならすぐにも脇に跪いてくれる店員が、今日に限って注文を取りに来ない。心なしかいつもより黒服のちらつきも少ない。
「そう言えば、少ないね…」
そう言って見回す織瀬の言葉を受け、
「あぁ今日は、真田くんいないの?」
カウンターからこっち、織瀬に目を戻すつかさ。
「なんでこっち見るのよ、知らないわよ…」
「アハハ、条件反射~」
「シャレにならないよ」
当事者の真実を横目に〈自由な〉会話が交わされていく。
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