連載『オスカルな女たち』
《 ココだけの話 》・・・9
「お、真実(まこと)先生…!」
「真実先生じゃないよ。なにしに来た…?」
(…こんどはおまえかよ!)
そう突っ込みたくなるのも無理はない。
「つめてぇな…相変わらず」
「当たり前だよ、他人さま」
間髪入れずに憎まれ口を返す。
「お前が会ってくれねーから、こうして出向いてきたんじゃねーか」
「会う必要なんてないようにメールしただろうが…!」
「真実先生、こんなところで大声出さないで…!」
自分の目線より顔一つ分低い実母を睨みつけ、つい先ほど、こんなところで大声で笑っていたのは誰だったのか…そう問いたい言葉を飲み込み口をつぐむ。
「そうだよ、こないだのメールはなんなんだよ。話があるんだ…」
どうにも話を聞くまでは帰ってくれそうにない珍客・佑介に、
「外に出よう…」
言いながら真実は白衣を脱いで操(みさお)先生の小さい肩に押し付けた。
「ちょっと…」
「あとよろしく」
言いながらナースサンダルを素早く外履きサンダルに履き替える真実。
「はいはい…」
仕方なしとそう答えながら、珍客…もとい、元娘婿に笑顔を振りまきながら、
「たまには家の方にも顔出しなさい…遠慮しないで」
と、追い出すように佑介の背を押して玄関ドアを出る真実の背に向かって投げかけた。
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