連載『オスカルな女たち』
《 すったもんだで 》・・・8
「な、なにが…」
「なにがじゃないわよ。聞いたわよ、操(みさお)先生に」
言いながら玲(あきら)は水の入ったグラスを口に運ぶ。
「操先生?」
弥生子(やえこ)のことを言われるかと気が気じゃない真実(まこと)は、途端に顔をしかめた。
「年明けからずっと、佑介と一緒に住んでるらしいじゃない」
「えっ!?」
真実と同じように「弥生子の話題」かと身構えていた織瀬(おりせ)は、意外な回答に驚き口元を抑えた。
「はぁ…? そっち」
予想とは違っていたが、むしろこの状況でその話題を持ち出されることの方が真実には不都合だった。
「はぁ…じゃないわよ。そっちって…ヨリ戻したの?」
「ん、なわけ!」
「じゃぁなんなのよ。秘密にしてるってことはそういうことでしょう?」
「だから、それは。…それに、一緒に住んでるのはあたしじゃなくておふくろさん」
「同じことじゃない」
「全然、違う」
「に、したってよ」
真実は言葉に詰まり頭をかき、
「あたしは、あれから家に帰ってないよ」
腕組みをして背もたれに寄り掛かる。
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
いいなと思ったら応援しよう!
いつもお読みいただきありがとうございます
とにかく今は、やり遂げることを目標にしています
ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです