連載『オスカルな女たち』
《 騒がしいやつら 》・・・1
うよん、っよん、っよん・・・ うよん、っよん・・・
「…なんの音?」
背後から近づいてくる気配に椅子を回転させ、眉をしかめる真実(まこと)。
振り返ると、いつもなにかしら問題を提起してくる楓が、妙な動きをする縦長のマペットのようなものを持って微笑んでいた。
「なにそれ、かわいいじゃん」
なんの疑いもなく楓を見る。が、
「ジャンボ金太郎くんですよ」
悪びれもなく返される言葉にぎょっとする。
聞き覚えのあるネーミングに慌て椅子から滑り落ちそうになる真実だったが、即座にデスクの一番下の引き出しに手を掛けた。ガラリ…と勢いよく引き出しを開け、あるべきものがないことを確認したあとは、わなわなと顔を紅潮させて立ち上がる。
「か~え~でっ…!」
「はい…?」
叱咤されているにもかかわらず、楓は満足そうににっこりと余裕な笑みで応える。
「それっ、ココのっ、ココにあった…?」
「はい、真実先生のジャンボ金太郎です」
「あたしのじゃないっ…!」
楓の持つそれを取り上げようと腕を伸ばすが、妙な動きのそれを掴むことを躊躇する。
(うぅ…この動いてる部分は、あぁ…あれだ…っ)
拳を握り震わす真実。
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです