着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・14


「とりあえず、ぶつかってみたら? 旦那様なんだし、ほんとに浮気してるって解ってからでも騒げるわよ」
半ば面白がっている遥。

「今までうまくいってたんでしょう…なにかあるなら向こうから言ってくるわよ。まぁ浮気じゃそれも難しいかもしれないけど…でも、みんながみんな狼じゃないってことがわかったでしょ」

それを「理性」という仮面で隠し、人格を持った「本能」があふれ出ないよう必死になって隙間を埋めている。

「それは花村弥生子(やえこ)としての意見? それとも弥生すみれとしての経験値かしら?」
それまで黙って聞いていた玲(あきら)が、珍しく切り込んだ言い方をした。

「最近、なんとかいう監督と噂になってるみたいじゃない?」
(女は男で変わるってことかしら…?)
今日はなぜか、弥生子の行動のひとつひとつが目の端にちらついて仕方がない玲。

そんな弥生子は一瞬動きを止めるが、
「番宣よ~。あんなお年寄りでも、もっと若い子がいいものなのよ」
そう言ってグラスにワインを継ぎ足した。

「弥生すみれの相手はいつもタイプが違うけど…本当は誰が本命なの?」
相変わらず遥は、男の話になると食いつきがいい。
「全部。…かもしれないし、誰でもないかもしれない」
「そんなところまで女優ですのね~。うまい逃げ方…」
「そんなんじゃないわ」
そう口ごもる弥生子に、

「意外に一途だったりね~」
 最後に玲がひとりごとのようにつぶやいた。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです