海4

連載『オスカルな女たち』

《 おとなの階段 》・・・8

「ごめんねぇ、思いのほか車が混んでて…。真実(まこと)早かったね」
 小走りにテーブルに駆け寄りショート丈のコートを脱ぐ織瀬(おりせ)。
「だってパトカーで来たんですもの」
 今ひとつ気持ちが収まらない玲(あきら)が、再度真実をいじるような発言をする。
「ぱとかー?」 
 当然の織瀬の返しに、
「話を蒸し返すな!!」
「だって…」
「どうしたの、玲」
 たった今たどり着いたばかりの織瀬には状況が呑み込めずにいた。だが、それまでの話を聞いていたつかさとて、それは同じ気持ちで、織瀬に目配せし首を横に振るだけだった。

 かんぱ~い!

 ひとまず注文が済み、4人の飲み物が届いた。そして先日真実の不在で繰り越しになっていた〈ポッキーとプリッツ〉も人数分、生クリームやディップと一緒に綺麗に盛られて同時に並んだ。
 つかさが真実のジョッキにグラスを合わせ、
「まずはマコちゃん、お誕生日おめでとう」
 言われて真実は照れ臭そうに返した。
「サンキュー、どうも。みんなにもらった花は受付に飾らせてもらってるよ」
「おめでとう。…これで玲だけだね」
 と、織瀬が続いた。
「私は来年だし…」
 早生まれは年を重ねるほど優越感を感じる。いつまでたっても一歳下…と、得意げに玲はグラスを空けた。

いいなと思ったら応援しよう!

たゆ・たうひと
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです