蜜月の刻(とき)
「どうだ、古峰沢。インタビューは捗ってるか」
不意に編集長に呼び止められる。
「わたしの名前、知ってるんですね?」
「当り前だ。お前は俺をなんだと思ってる?」
「編集長こそ。…あぁ、なんでもないです」
「で、どうなんだ?」
「え?」
「インタビュー!」
「あぁ、ぼちぼちです」
「なんだ、それは」
そもそもコラムを書けと言われて初めてインタビューだった。だが目的が果たせず、手を離れたにもかかわらずにやらされているインタビューなのだ。どう捗っていると報告するのが正しいのか・・・・。
「インタビューはなんとか、途切れずに続けています」
「そうか、頑張れ」
「これはいったい何の訓練ですか?」
「訓練?」
「だって」
「そのうちおまえにも見つかるさ。『意義』というやつがな」
そうだろうか…?
だが確かに、これまでのインタビューの中、偏った意見が続いている。それが万人の意見とは言わないが、むしろもっと「聞きたい」と思っている自分がいるのは事実だ。
あれほど無駄だと感じていた題材だったのに、これが「やりがい」というやつだろうか。ただの野次馬根性だろうか。
とにかく今は、出された課題をこなしていこう。
『初体験はいつですか?』
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いつもお読みいただきありがとうございます
とにかく今は、やり遂げることを目標にしています
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