連載『オスカルな女たち』
《 騒がしいやつら 》・・・16
「奇跡のオスカルよ…!」
「きゃ~まことさ~ん!」
「え? ホントに? 真実さま?」
次々と熱いまなざしのシャワーと共に黄色い歓声が湧きたった。
「きゃ~💛」
しかし様子がおかしい。「同窓会」というには周りの人だかりの服装が妙だ。
(なんでタキシード?)
ホームパーティ仕様の遥のドレスとは違い、ここにいる人間の洋装は半分以上がスーツやらタキシード姿だった。
が、っちゃん…と、大きな音まで加勢して、
「真実、さん? 真実さんなの?」
言いながら、30人は越える人垣をかき分けこちらに向かってきたのは、男装の麗人そのものでアシンメトリーに切りそろえられた短い髪を撫でつけたパンツスーツ姿の、
「え? たちばな、さん?」
「そう! 覚えててくれたの…!」
そう言って無防備な真実にしがみついてきたのは『第九のオスカル』。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのミュージカル女優〈橘もえ〉その人だ。
(立花萌絵…? なんでこのひとまで…)
苦虫顔の真実にはまるで合点がいかない。と同時に、すべてがこの光景で腑に落ちたといってもよかった。
(やっぱり、やばいやつだ…!)
「ちょ、離れて…」
呆然としがみつかれている場合ではなかった。
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